オケラ街道の奇人

令和という斜面に踏み止まって生きる奇人。自称抒情派馬券師、オケラ街道に潜む。

沈黙の日曜日

コロナ騒動から、、今週の競馬も無観客で行われますね。中京競馬場では金鯱賞がありますが、競馬ファンならば、一頭の名馬を思い出すことでしょう。そう! 金鯱賞でのサイレンススズカの覚醒。

サイレンススズカの荒ぶる魂(行きたがる)を無理に抑えていたならば... 果たしてあの天賦の才は花開いていただろうか? 答えはNOであろう。でも、彼にとって眠れる才能が目覚めたことは幸福だったのだろうか? タラレバになってしまうが、1998年11/1 秋の天皇賞での沈黙の日曜日。あの不幸な出来事はなかったのかもしれない。 

そんなことを想像するのはあまりにも悲しいことである。

サイレンススズカほど幻想を抱かせる馬はいない。彼の走りはスタートと同時に大逃げ一人旅。そのまま最短距離を通り(道中一息入れる)、直線でも後続と同等のタイムで走る。つまり、ライバルに何もさせない走りなのだ。
圧巻だったのは毎日王冠での走り。史上最強馬との声も多いエルコンドルパサーや、怪物グラスワンダーを相手に、影をも踏ませぬ完封圧勝劇。

競馬にタラレバはタブーだが、もし無事であったなら、、サイレンススズカこそ史上最強馬である!と、、幻想する人も多い。
ディープインパクトを負かすとしたら、サイレンススズカだけかもしれない・・・と、武豊は語ったことがある。しかし、両者は後世に残したものが違うのだ。

ディープインパクトは事実を残しサイレンススズカは実現されなかった可能性を残して逝ってしまったのだ。だからこそ、想像力をかきたてられる。

沈黙の日曜日。
あの時、サイレンススズカは速すぎるがゆえのデッドゾーンに突入していたのだろう。
彼の肉体は、あの魔の第四コーナーで燃え尽きたが、その魂は直線コースに入っても衰えず、そのまま後続に大差をつけ、とんでもないレコードタイムで、天国まで駆け上がったのだ。そう思うことにしている。
そうでないと、あのスピードは説明がつかない。