オケラ街道の奇人

令和という斜面に踏み止まって生きる奇人。自称抒情派馬券師、オケラ街道に潜む。

カラスの勝手でしょ!

夕暮れ時、散歩をしていると。
公園のカラスが “カァ~!” と啼いた。

私は童謡七つの子を頭の中で口ずさむ。

 カラス なぜ啼くの♪
 カラスの 勝手でしょ!♫

ん? 待てよ!この童謡は...

“からすは山に かわいい七つの子があるからよ♪”

と、続くはずなのに、私の脳内では
カラスの勝手でしょ!」と、インプットされてしまっている。

そうか、そうだったのか、、。
志村けん” だな。
あの日本を代表する(童謡)詩人、野口雨情の歌詞を差し置いて、志村けんの替え歌が先に出てしまった自分に苦笑する。そういう人は、きっと多いのだろうな。その影響力の大きさに今更ながら驚くのである。


志村けん ... 享年70歳。

偶然にもドリフの先輩である、いかりや長介は72才、荒井注は71才で亡くなっている。そうであっても、まだまだ若すぎるね。
当初は甘く見ていた人も少なくなかった新コロちゃん騒動。
3月29日に新型コロナウイルスによる肺炎で亡くなった志村けんの訃報を聞き、このウイルスは怖いぞ...と、多くの人が感じたことでしょう。
国民的コメディアン、日本お笑い会の宝、志村けんの命を奪った新コロちゃんの恐ろしさは、衝撃を持って伝えられました。

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幼い頃から、多くのお笑いタレントを見てきました。そんな中で、圧倒的に笑ったのはドリフターズですね。
8時だョ!全員集合』は、家族みんな、テレビの前で腹を抱えて笑ったものです。笑いすぎて苦しくなったという体験は、あの時だけかもしれません。それは、少年時代の土曜夜8時。懐かしい茶の間の光景とつながっています。古き良き昭和の茶の間。


その後、ドリフ人気に対抗するフジテレビの「オレたちひょうきん族」が登場すると、視聴率でもその後塵を拝するようになっていきました。
新しいお笑い? 時代の流れだったのでしょうが、後世の評価としては圧倒的にドリフターズに軍配が上がりますね? ひょうきん族の笑いはどこか差別・偏見・弱い者イジメ...等を連想させ、子どもやお年寄りには理解出来ない部分もありましたが、ドリフのそれは単純明快で原始的な本能に訴えてくるような可笑しさがあります。

ビートたけしは「志村さんのお笑いは正統派。おれなんかの笑いは、所詮邪道だったんだよ...」
そんなコメントを残していましたね? それから「関西のお笑いに対抗する関東最後の防波堤だった」とも。


私は、若い頃の志村けんがあまり好きではなかった。
この間まで見習いだったくせに、大先輩 高木ブーに対する態度が横柄に感じたし、ドリフの顔、加藤茶ともタメ口を聞いている。荒井注の方が全然良かったな!と、思っていた。
しかし、それはバラエティー向けの顔だったんですね。
下積み時代も長く苦労人でもあった。

あるトーク番組で志村けんが語った。

「今の若い人はスゴいと思う。フリートークで笑いをとって、アドリブも効いている。ボクなんか練にねって、リハーサルを繰り返さないとできない」

私はこの言葉で志村けんが好きになった。加藤茶は天賦の才あったが、志村けんは努力の人だったのだ。
そして、もの凄いシャイな性格だったという。私は基本的にシャイな人が好きなのだ。
“シャイ=照れ” の精神がない人は、人間的に信用出来ないとさえ思う。


高木ブー「志村は死なないの。ずっと生きている」


酒場で変なおじさんを見るたび、志村けんを思い出すんだろうな。
否、私自身が変なおじさんか?(笑)

安らかにお眠り下さい。