アーモンドアイは、あまり好きではなかった。
正直、彼女が走るレースは、いつも負けることを密かに期待していた。
その理由は?
ルメール騎手優遇? 使い分け疑惑による刺激の少なくなったG1レース。
勝てそうなレースしか走らせない? 巨大組織ノーザンファームによる、アーモンドアイ忖度。
最多G1記録を獲らせるためのお膳立て疑惑 等々...。
それだけだろうか?
強すぎる馬はファンも多いが、アンチも多いですからね。
自分が好きだった過去の名馬の名を挙げ「○○○を超えた!」なんて言われると、我慢ならないのがファン心理です。
史上最強牝馬論争はさておき、一時代を築いた不世出のスーパーヒロインであることは間違いないことで、昨日のジャパンカップでそれを証明してくれました。
1着 アーモンドアイ
2着 コントレイル
3着 デアリングタクト
無敗の後輩三冠馬2頭を抑えての、文句なしの完勝です。
あれだけのレースを見せられては、認めざるを得ない。
そして、アンチだったことも忘れ、女王のフィナーレに畏敬の念すら覚えたほどです。
引退。
もう、彼女の走りを観られないと思うと、寂しくもありますね。
いつの時代も、ターフを去る名馬の姿は、とてもとても美しい。
そして、虚弱体質だったアーモンドアイに携わる、全ての関係者の努力も称賛されるべきでしょう。
そうでなかったら、あれだけの記録は決して残せませんでした。
” アーモンドアイ”
その名の如く、クリッとした美しい瞳を持つ女王でした。
最後に寺山修司「さらばハイセイコー」より引用でアーモンドアイに敬意を表します。
『さらば アーモンドアイ 』
ふりむくな
ふりむくな
うしろには夢がない・・・
アーモンドアイがいなくなっても
総てのレースが終わるわけじゃない
人生という名の競馬場には
次のレースを待ち構えている百万頭の
名もないアーモンドアイの群れが
朝焼けの中で 追い切りをしている地響きが聞こえてくる
思い切ることにしよう
アーモンドアイは ただの数枚の馬券にすぎなかった
アーモンドアイは ただひとレースの思い出にすぎなかった
アーモンドアイは ただ三年間の連続ドラマにすぎなかった
アーモンドアイは むなしかったある日々の
代償にすぎなかったのだと...