オケラ街道の奇人

令和という斜面に踏み止まって生きる奇人。自称抒情派馬券師、オケラ街道に潜む。

散歩とカツ丼と...

休日の昼下がり。
ダラダラと散歩するのが好きなのです。そこに「目的」があってはならない。目的や目標なんて面倒くさい。

旅は途中下車や行先不明が楽しいのだ。それは散歩も同じだろう?
何にも制約されず、一人思うまま自由に歩き回る。


だらだら、、

 ふらふら、、

  きょろきょろ、、


大抵は本屋に寄る。
あの空間ほど落ち着ける場所はない。
飽きもせず何時間でもいられる。
幸福な時間なのです。

“ 近頃は、ちょっといい話風の小説が流行っているのだな?つまらん!”

“ 芸能人本なんて買うやついるのか? 頭悪いんだろうな... ”

“ リーダー論とか組織論等のビジネス本の殆どは胡散臭い詐欺本だ ”

そんなようなことを、心の中でぶつぶつ呟きながら本を眺め回るのが楽しい。結局、おれは時代小説を買って本屋を出るのであった。


外へ出ると、雲行きが怪しい。
遠くの方で雷様がゴロゴロと怒っているような気がする。

“こりゃ、一雨来そうだな...”

あたりを見まわすと、小さな蕎麦屋が目に入った。ちょっと空腹を感じていた。迷わずそこへ飛び込む。

《客はおれ一人のようだ》


ビールの小瓶

カツ丼

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散歩で渇いた喉に、冷たいビールが沁みる。心にも沁みる。
ビールがあれば、この世も捨てたもんじゃない。シアワセの極み。
ビールを愉しみながら、時代小説をパラパラめくっていると、奥の方から甘辛そうなタレの匂いが漂ってきた。

おれのカツ丼。
そろそろやってくるな? ビールにカツ丼、なんというベストなチョイス。

亜米利加人が言っていた。
「ビールにはホットドックが最高!」

独逸人も言っていた。
「ビールにはソーセージが一番だよ」


これだから、欧米の食文化は理解出来ない、風情がない。
ビールにはカツ丼と決まっているじゃないか! 日本人で良かったと、シミジミと思う。

ん? ちょっと待てよ。 

ビールと一番相性が合うのは餃子じゃなかったのか?
鶏の唐揚げを食べながら飲むビールも格別だ。
枝豆や奴豆腐という、圧倒的なビールの手下もいる...。

「はい! カツ丼ね!」

おれのカツ丼が来た!

出汁で玉ねぎをサッと煮て、サクサクのとんかつを白飯にのせ、卵でとじてある。

これがいいんだな。

ソースカツ丼だの、味噌カツ丼だの、卵でとじないものは信じられない。
それなら、丼にせず別々に食べればよろし。ついでに言えば、カツカレーも別々に食べた方が良い。
近頃では丼にせず、オシャレなお皿に入れ、カフェ風カツ丼もあるらしい。

てやんでぇ! 何がオシャレカツ丼でぃ! カツ丼は伝統芸でぃ!


ザーザー 
 ザーザー
  ザーザー


外では雨が激しく降っている。
時折、稲光がピカリと光る。
どうやら、雷様の怒りはまだ鎮まっていないらしい。
同じ雷様なら、高木ブーのように穏やかであってほしいよな...
そんなくだらないことを考えながら、一人苦笑するのであった。

雨でしばらく外へ出られないな、、店に置いてある東スポを見ながらビール小瓶をおかわりする。

東スポのページをめくる。
ちょうど、エッチなページが出てきたところで、店のおやじがビールを持ってきた。
おやじは、おれと東スポのエッチな写真を見較べると「ニヤリ」と笑った(ような気がした)。

《ち、ちがうからな、、おれはプロレス欄か競馬欄が見たいんだからな。スケベ男じゃないぞ!》


夕立ち?
雨は止んだ。雷様も去ったようだ。

「すいませーん、お会計」


うまいカツ丼だったな。
辛いのか甘いのか、しょっぱいのか?
決して上等なカツ丼ではないけれど、量もあったし安い。なにより満足感があった。カツ丼というものは...

これで いいのだ!


まっすぐ帰ろうか?
それとも、焼き鳥屋でも寄ろうか?
まず、競馬新聞でも買おう。

素晴らしき散歩を終えるのであった。


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世の中はコロナ禍の中、一向に収まりそうにありませんね。

あのお蕎麦屋さんも閉店していました。

おまけに糖尿病となった私は、カツ丼をかきこむように食べることは出来なくなりました。

それでも私は散歩を続けます。
健康のため、ゆっくりでなく、早歩きのウォーキング。
今日も5~6km程、歩いてきました。

来週は “名馬 Memories 怪物編” の続きを更新しようと考えています。