オケラ街道の奇人

令和という斜面に踏み止まって生きる奇人。自称抒情派馬券師、オケラ街道に潜む。

屋根より高い鯉のぼり

雑草生い茂る原っぱで少年たちはボールを追いかけている。

三角ベースボール?

ジャイアンに似た体格の良い少年が打った打球は、外野を守っている少年の頭上を越え、生い茂る雑草の中に飛び込んだ。

少年たちはゲームを中断しボール探し。草の、、、犬猫のフン?の匂いに鼻をつまみながら、少年たちは必死にボールを探している。

「おーい! ここに変なモノがあるぞ...」

そこにあったのは、打ち捨てられた成人雑誌
雑草に隠れるように広げられたその雑誌は、女性の裸写真が大写しされていた。

少年たちの憧憬。
未知なる妄想をかきたててくれる存在、、、。
少年たちは息を飲む。

エロ本である。

誰が捨てていったのだろうか?


「おーい! ボールがあったぞ」

雑草の先にはドブ川がある。
そこにボールはプカプカと浮かんでいた。

“ ここは危険 ”
カッパのイラスト付きの看板。
もう、諦めるしかないようだ。

    ウ〜 ウ〜 ウ〜!

近くの鋳物工場?から、昼を告げるサイレンが発せられた。
少年たちは昼飯を食べに家に戻るのであった。


「・・・」

ドブ川の主カッパは、水面に浮かんだ球体を注意深く見つめると、それを掴んで陸に上がった。

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“ 子どもたちに返さなきゃ...”


てくてく
  てくてく
   ペタペタペタペタ、、、

昼下がり。

ボールを持ったカッパは、少年たちが住んでいるであろう住宅地?を恐る恐る歩いている。

少年たちにボールを返したい一心で。

でも、人間たち誰にも姿を見られてはならない。


ある一軒の民家。
中から、原っぱにいた少年らしき声が聞こえてきた。
カッパは物陰に隠れながら、家の窓を覗いてみると、少年がコロッケを美味しそうに食べていた。

“ 間違いなく、原っぱにいた少年の一人だ... ”

カッパは安心した。

そっと玄関先にボールを置いた。

「う~ ワン ワン ワン!」

裏の方から大きな犬がやってくると、カッパに向かって凶暴そうに吠え立てた。

「あわわわわ、、、」
カッパは大慌てで逃げた。

背後を振り返ると、鯉のぼりが屋根より高く、青空に向かってなびいていた。

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新型コロナ騒動。
去年に続き今年のゴールデンウィークも、自粛要請によりステイホームになってしまいました。
連休も明日一日になってしまいました。いつまで続くのでしょうね?

そして、明日は端午の節句、こどもの日です。
子供時代のことを思い出しながら、上に記したように空想してみました。