オケラ街道の奇人

令和という斜面に踏み止まって生きる奇人。自称抒情派馬券師、オケラ街道に潜む。

名馬 Memories 天才編 ② 天才は忘れたころにやってくる

名馬 Memories 天才編 ① 天才は苦悩する
https://okeraman.hatenablog.com/entry/2021/05/22/035521
からの続きです。


デビュー以来7戦不敗。
(皐月賞、ダービー2冠)
天才トウカイテイオーが、遂に現役最強? 王者メジロマックイーンに挑んだのが、1992 天皇賞(春)

結果は5着...。

ここで詳しく述べる必要はないでしょう。

鞍上岡部幸雄をして。
「地の果てまで走れそう...」とまで言わせた天才が初の挫折。
レース後、軽度とはいえ右前脚の剥離骨折も判明した。
「天は二物を与えず」
ダービーに続く故障で、天才特有の心身のひ弱さを見せてしまったのか?

ここでタラレバになりますが、あのレースはテイオーが万全であっても勝てたかどうか?は疑問です。
淀3200は、マックイーン絶好の舞台。それも、史上屈指の巧者。
もう少し距離が短く、違う舞台で万全の体調で走っていたなら?
結果は逆になっていた可能性が高かったかもしれませんね。



トウカイテイオー君よ、まだまだ甘ちゃんだな...」
メジロマックイーンは競馬の厳しさを後輩に教えたのだ。

テイオーもマックイーンの雑草の強さに驚き学んだことだろう。
「王者はいる。悔しいが...」


故障で春シーズンを棒に振ったテイオーは、復活をかけ、秋の天皇賞にぶっつけ本番で挑むことになる。

結果は?
初めて掲示板を外す7着 惨敗である。

トウカイテイオーは終わった。」
「王者マックイーンに骨抜きにされてしまった。」

そんな声も囁かれ始め、、私も正直そう感じていました。

あそこで終わっていたならば?

単なる早熟の天才。
ひ弱な体質からの故障で、本来の素質を開花させられなかった不運の天才。

後世の評価はそうなったでしょう。


しかし・・・。


天災? 否。

“ 天才は忘れた頃にやってくる!”


ファンは驚くべき光景を目の当たりにするのだ。

続く第12回ジャパンカップで優勝。
奇跡の復活を果たすのである。
春、秋天皇賞のレースっぷりから、世界の強豪を迎えたこのレースで、まさか勝ってしまうとは誰が予想しただろうか? 信じられない。

「やっぱり、こいつは本物の天才なのかもしれないな...」
私は心の中で、小さく感動した。


ボクシング界の天才。
モハメド・アリは「あまりにも順調に勝ちすぎているボクサーは、実は弱い。」という名言を残している。

春の天皇賞で負けるまでは、確かにそうだったかもしれない。
天性の素質だけで走っていたが、本物でなかったというのは否定出来ない。苦悩してこそ真の天才になれるのだ。


挫折と栄光。
絶望と歓喜

このまま、トウカイテイオーは完全復活を遂げ、続く有馬記念でも復活した天才の走りを魅せてくれると堅く信じていたファンは多かったことだろう。


ここで終わらないのがトウカイテイオー伝説。

本当の苦悩は、ここから始まるのだ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


天才編なのに、トウカイテイオー編になってしまいますね。
次回 天才編最終章 に続きます。