オケラ街道の奇人

令和という斜面に踏み止まって生きる奇人。自称抒情派馬券師、オケラ街道に潜む。

N氏とオケラ街道を歩いた思い出。

「一度競馬場に連れてけよ...」と、当時勤めていた会社の同僚に度々言われていたので、あれは1988桜花賞でしたかね? 連れて行ったことがあった。

同僚といっても、N氏は私より2年先輩でしたが、気が合い、仕事帰りによく居酒屋に寄っては終電近くまで飲むこともしばしば。飲み助仲間。

「ところで、最近どうだい。儲かってんの?...」

そう言うと、彼は競馬騎手が手綱を引くアクションをする。

「いやぁ~、、ぼちぼちでんな...」

Nさんは私が競馬バカで、その話をすると、普段は口数の少ない私が饒舌になるのを知っている。
競馬に興味のない彼にとっては、競馬好きイコール馬券至上主義だと思い込んでいるふしがある。
勿論、馬券的中が競馬における至上の快感ではあるが、それだけならもっと効率の良いものが他にあるだろう。
寺山修司の言葉を借りるならば『私は競馬が好きなのである』

「競馬場に一度連れてけよ!」

それが、競馬好きの私に対する社交辞令だとは感じたが、Nさんは、基本とても善い人なのでご一緒しました。

中山競馬場に着いたのは昼前でした。

結果は散々でしたね。
勝ったのはアラホウトク。2着はシヨノロマンだったのですが、桜花賞を含め数レース買うも、1万円近く消えたと記憶します。
Nさんも5千円近くパーにしたと思います。最終レースが終わると中央門を出る。西船橋駅へ向かう無料バスがあるのですが行列が出来ている。

てくてく、、てくてく、てく、、

何の成果もなく、Nさんとふたりオケラ街道を西船橋に向かって歩く。
うなだれているのはNさんだけ。
毎週のように馬券を買っている私にとって、これは当たり前の光景です。

「やっぱり難しいな...。 儲からないのになぜ賭けるんだ?」

そうストレートに言わなかったとは思いますが、そんなようなニュアンスのことをNさんは呟いていましたね。
競馬を儲かる儲からないという経済的観点からばかり語られるとしらけるのは、競馬ファンならお分りでしょう?
西船橋に着いて、知っている焼き鳥屋に入ってからも、そんな馬券のことばかり拘るので興ざめでした。
本当はレースそのものを回顧したい。

(Nさんに悪かったな...)
そんなことを考えていました。

Nさんとは、プロ野球や彼が好きだった大学ラグビー等をよく一緒に観に行きましたが、見終わったあとの酒場では、試合でのプレーを回顧しながら熱く語り合うのが楽しかったのです。
競馬も同じだと思うんですけどね。

やはり、競馬に興味のない人は誘うべきではない。基本、競馬場は一人で行くところだと思います。
立ち見でしたからね、人混みの中をパドックとかあちこち嬉々として移動する私と違って、Nさんは疲れの様子?

「馬券だけ買ったら、どこか、酒場へ移動しないか?」

落ち着かないし集中できないし、そう言われることを一番恐れていました。
Nさんは気遣いのある人でしたから、そんなことは言いませんでしたが、これに懲りて競馬場には絶対一人で。

今回は、Nさんのことを思い出したので。。。 どうしているだろうな?


そういえばコロナ禍々以降、全然競馬場に行ってないなぁ。
3年ぐらい行ってなく、競馬場だけでなく浅草等の場外馬券売り場に行くことも激減しました。
こんなことは過去になかった。
習慣ですからね、、一度行かなくなると、逆に行くのが億劫になるかも?
爺になったので電車での移動も大変。

まぁ、ネット馬券でグリーンチャンネル観戦も楽しい。


ゴールデン・ウィークも過ぎてしまいました。心がブルーになりそう。
この連休中に、ちっこいハエが、メシを食ってると プゥ~ン プゥ~ン...と、そこらを旋回するのでイライラ💢です。