オケラ街道の奇人

令和という斜面に踏み止まって生きる奇人。自称抒情派馬券師、オケラ街道に潜む。

エロチック電車。

目の前の座席に座っているOL風の女の股がチラッと小さく開いた。
この女もどこかで飲んだ帰りだな?
おれの真ん前で見事に開きかけたが、その一瞬意識が戻ったのか、すぐに脚を閉じてしまう。かなり残念だ...。

当時、おれは京浜東北線西川口駅沿線に住んでいた。その日は土曜日だったと思う。大宮で友人と飲んだ帰りの電車。もう終電近くで、上り電車ということもあり車内はガラーンとしている。そして、幸運はやってきた。



おれだって酔っていた。
でも、目の端にOL?スカート三角地帯が入ってくれば目が覚めてしまうのは当然の理屈。
その女は美人かどうかは記憶にない。しかし、スタイルが良かったのは確かで、紺のスーツに身を包み、そのタイトスカートからの脚が一瞬だけチラッと開いたのだ。

女もお酒を飲んだ帰りなのだろう。
口を半開きにしてうとうとしている。
おれはあの三角地帯の残像が気になって、競馬新聞に目をやりながら上目遣いで女の下半身に注意を向ける。
あまりにも無防備で気が緩んでいるのが見て取れる。

(これ、また脚を広げるぞ...)

なぜか、おれの両隣に変な男がいる。
太ったオヤジとバカっぽそうなヤングだ。向こうに席がいっぱい空いているのにおれの隣に来るな!💢

幸運は再びやってきた。
女が首(顎)を上げ、ズルズルと腰が前に滑り出てくる。

パッカァ~~!

三角地帯なんてレベルではない。
それは紛れもない開脚ショー。
はっきり言って丸見えである。
しかも、一瞬ではなく数秒そのままなのだ。このような状況に出くわすのは10年に一度あるかどうかだろう。

ラッキーとは思ったが、直球で目を向けるのは憚られる。おれは競馬新聞を読んでいることを装う。しかし視点はそこにはない。上目遣いに全神経を集中して心も120%そこにある。

当たり前だ!

ふと、気付くと、、両隣のバカヤングとデブオヤジの目もそこに釘付け。
おれは自分のことは棚上げにして、この二人のスケベさを心の中で激しく罵倒した。おれは遠慮気味にまともに目は向けていない。なのに、このバカとブタはストレートに目を向け気持ち悪い笑みを浮かべているからだ。

(ここはおれの席なんだぞ。向こうに席が空いてるのに三人並んで座ってれば不自然だろがっ!スケベ野郎邪魔だ!)

数秒間、女は脚を開いたままスカートの中の白いものを見せる大サービス。
しかし、急にハッとしたように目を開けると姿勢を正した。そして、再び目を閉じた。半醒半睡状態なのだ。

これ、またやるぞ。パカッと開くぞ。

開けゴマ!

南浦和辺りだろうか?
バカとブタは電車から降りる。
女は降りない。ざまあみろ!
きっと、後ろ髪を引かれる思いだったに違いない。
世の中、そんなに上手いこといくわけないのです。かわいそうに...。

すると、スケベ男二人と入れ替わるように、スーツ姿の小柄なサラリーマン風の男が乗ってきた。
その男は神をも恐れぬ行動に出る。

男は女の前の吊り革に掴まるとおれの視線を遮りやがった。男はかなり酔っているようで、吊り革に掴まったまま眠りそうになりヨロヨロしている。

おまえはサルかっっ!?

おいサル! そこどけや。
見えねーんだよ!
席はいっぱい空いているだろう?
座れやサル! 上野の猿山に帰れ。

おれはかなり怒ったね。

しかし、しばらくすると猿は座った。

目の前におサルさんがいて鬱陶しかったのだろうか? 女はすっかり目を覚ましているようだった。

おれはサルの頭を小突いて反省させたい気分だった。

女は蕨駅でフラフラと立ち上がると心許ない足取りで降りて行った。
酔っ払い女のスカートの後ろファスナーは 1/3 ほど降りていた。


以上は西川口に住んでいた頃なので、30年以上昔のことですね。
これはかなり誇張も入ってますが、ほぼ実話です。それを面白おかしく書こうと思いましたが下ネタは難しい。

ここのところ、しばらく更新を怠っていましたが、盆休み中(8/16迄)にもう一回更新する予定です。
(出来なかったらごめんなさい)

次回は怪談ネタかな?