オケラ街道の奇人

令和という斜面に踏み止まって生きる奇人。自称抒情派馬券師、オケラ街道に潜む。

2024-01-01から1年間の記事一覧

妄想・オケラ街道の少女(13)一番センター〇〇くん!

中学卒業アルバムをめくりながら、おれは中山競馬場帰りに会った50年前のおれのことを思い出していた。あの少年の脳内は遠い日の少女静香ちゃんのことで、その妄想でいっぱいのはずだ。しかし、少年は年が明けると高校受験そして中学を卒業しなくてはならな…

妄想・オケラ街道の少女(12)あっしには関わりのないことでござんす。

少年は吸い込まれるようにカウンター席のおれの横に腰掛けた。こんな子どもが、汚い競馬オヤジばかり集まる酒場に一人、、、補導されても知らねえぞ!とも思ったが、「あっしに何か用でもあるんで?」と聞いてみた。この時、既にこの少年が50年前のおれ自身…

妄想・オケラ街道の少女(11)謎の少年。

嫌な夢だった…。チグサはおれの顔を見ると子犬のように尻尾を振って寄って来ると思っていたのは自惚れだったのか? 信じられないことにシカトされたのだ。 おれのことなんか眼中にないかの如く一瞥もくれない。否、向こうからやってきたチグサと行き交う際、…

妄想・オケラ街道の少女(10)警告

部屋の片隅にチグサの存在を感じた。しかし、それはまだ忘れることの出来ないチグサへの残想だ。あの日、西船橋から武蔵野線に乗ると窓景色の向うからチグサがおれに向かって手を振っていた。どんどん車窓から後ろ後ろへと遠ざかるチグサ。あれは、おれの幻…

妄想・オケラ街道の少女(9)ストーカー。

おれがストーカーと化したのはいつ頃だったのだろうか?静香ちゃんとは母親同士が仲良かった関係もあり、物心がつく頃からのガールフレンド? まぁ、幼馴染みだった。おれが小2の時に、彼女(小1)は引っ越して行った。それから7年半の時が経ち再会した静香…

妄想・オケラ街道の少女(8)遠い日の静香ちゃん。

西船橋から電車に乗り車窓から外を眺めていると、通りにチグサがぼうっと突っ立ちこちらに手を振っている。 チグサ! 否、あれはチグサではない。あの頃のおれだ…。 そんな思いにとらわれた。「わたしはあの頃のおじさんだよ…」別れ際、チグサはそう言った。…