オケラ街道の奇人

令和という斜面に踏み止まって生きる奇人。自称抒情派馬券師、オケラ街道に潜む。

2023-12-01から1ヶ月間の記事一覧

妄想・オケラ街道の少女(7)あの頃のおれ?

おれは思いっ切り転倒した。この数年急激な体力の衰えを自覚していながら自分の歳も省みずこんなに飲んで走ってしまったから当然だ。 そんなことより、、チグサ!チグサ! 立ち上がった。挫いたのか? 思うように歩けない。足を引きずりながらも前に進んだ。…

妄想•オケラ街道の少女(6)うるせい!デブ。

気のせいだろうか? 幾分チグサの背が伸びたような気がする。それにその表情も大人びて見える。6日前の日曜朝、チグサが消えてからというもの、心配で心配でおれは眠れぬ夜を過ごしていた。それに追い出してしまったようで自己嫌悪もある。目の前でニッコリ…

妄想•オケラ街道の少女 (5)うしろの正面だーれだ?

朝起きるとチグサの姿がない。 昨夜、あれからおれは黒霧島の水割りをしこたま飲んだ。あんなチグサのような少女とふたりっきり酔ってなきゃ間が持たないからだ。おれはチグサに「明日は帰るのだぞ」と何度も念を押し、彼女が予言的中させた馬券25万円を丁寧…

妄想•オケラ街道の少女(4)振り向くな 後ろには夢がない。

チグサは不思議な少女だ。年齢より大人びた印象を受けるが旨そうに弁当を食す姿はあどけなさも残る。 フラッシュバック! 50年前のおれはチグサと同じ15才。 おれは茶の間に教科書と辞書、参考書を持ち込みテレビの前に座った。 ドキドキしていた。その日は…