オケラ街道の奇人

令和という斜面に踏み止まって生きる奇人。自称抒情派馬券師、オケラ街道に潜む。

初夢。

電車がホームに着いた。
私はまず座らないので、窓際に立ちホームを眺めていた。

どこの駅かは分からないが、雰囲気からいって地下鉄だろう。
小伝馬町茅場町のような気がする。

ドキッとした。

あの女がいる。。。

電車がホームを出る直前だった。
あの女とまともに目が合う。

ぞくり! と、した。

既に電車のドアは閉まり、走り出したというのに、女はホームを駆け追いかけてくる。髪を振り乱して、恐ろしい形相で電車の窓を叩きながら走っている。その姿はヒトではない、得体の知れない何か?を感じさせる。

その女の正体は不明である。
しかし、何故か名前は「ナターシャ」であると知っている。
彼女は日本人なのか、ロシア人なのかは分からない。いつも霞がかかっているようで、まともに顔を見たことがないからなのだ。
なぜ、ナターシャがこんなところにいるのだろうか?

たったそれだけの夢。
これが、記憶する2022年の初夢です。
この夢は昼寝時に見たもの。


ところで、ナターシャという女は、度々私の夢の中に出てくる。

ある時は、深夜トイレに起きると中から出てきたり、誰もいない筈の部屋で勝手にご飯を食べていたり、私の家にいつの間にかいるのです。

「勝手に人の家に上がるな!」

と、注意をすると、怒り出したナターシャは私の首を締めようとしたことさえあります。ナターシャは大きいので勝てません。
普通なら、夢の中の私は、それを“霊的なモノ、魔物のようなモノ”と感じ、恐ろしく感じる筈なのに、私は気にも留めていません。
無関心を装えば、彼女は私に危害を加えることはない。と、何年も夢の中で彼女と接して学んだからです。

ナターシャは、私の夢の中の主な登場人物と言ってもいいのです。

ナターシャは誰なのだろう?

如何なる心理がナターシャという幻姿を生み出したのだろうか?



・・・・・・・・・・・・・・・・

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2021年もあっという間に過ぎ、今年も一週間が過ぎました。
年を取るにつれて、時の流れは早く感じ、それはどんどん加速します。
この伝で言うと、もうそろそろ桜が咲き始め、暑い夏がやってきます。
秋はすぐに過ぎ、除夜の鐘を聞く。

すぐですよ(笑)。




父は今年二月で 六十五
顔のシワはふえて ゆくばかり♪

母は今年九月で 六十四
子供だけの為に 年とった♪

かつて、井上陽水がこんな歌をうたっていましたね?(人生が二度あれば)


65は、、おじいちゃんですか?
64は、、おばあちゃんでしょうか?

私は今年64歳になるんですけど!

ふざけないでほしいですよね(笑)。
令和四年の時代に、昭和のこの歌詞は当てはまりません。
そんな陽水も今年74になるそうです。

今の64なんて、昭和でいえば52才位だと断言します。...なんてね。


今年もよろしくお願いします。

滅びゆく寺内貫太郎的おやじ

2021 多くの有名人の訃報があった。

一番ショックだったのは、田中邦衛さん。この人については、「ひょっとこおじさん」のタイトルにて、このブログでも書きました。
千葉真一田村正和瀬戸内寂聴橋田壽賀子笑福亭仁鶴太田淑子中村吉右衛門、、その他。

ご冥福をお祈りします。



そして、寺内貫太郎演じる小林亜星さんも亡くなりました。


「おいおい暴れるな!あんたは星一徹かよっっ!?」

美しき日本の伝統芸。
ちゃぶ台返しといえば、星一徹か、自虐の詩か、あの寺内貫太郎を思い浮かべる人は多いと思います。
現代の価値観から云えば、あのような振る舞いは、男尊女卑のパワハラモラハラ、DVとされること確実。批判の対象でしょうね?


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でも、私は貫太郎を憎めない。

それは、その根底に「愛」があるからなんて、軽々しく愛なんて言葉を使うつもりはありませんが憎めない。
愛というより、心配なんですよ。それを口に出せないほど不器用でシャイ。
自信がなく、家族に甘えていると感じるのです。そして、追い込まれると暴れるしか方法がない。

私はアットホームと言われる空間ほど、イジメやパワハラは多いと思っています。それから「親分肌(姐御肌)」と言われる人も好きになれない。
大体、親分なんて、火付盗賊改長谷川平蔵黒門町の伝七親分、赤塚漫画のココロのボスぐらいしか信用していないのです。ブタ松親分も(笑)。
親分肌を気取るやつ、アットホーム風の集団は、同調圧力が強く、それに従わない者に対しては、残酷で冷たい一面を見せますからね。

貫太郎一家はアットホームではない。
寺内貫太郎は親分肌ではない。

ただ、自信のない不器用な頑固おやじに過ぎないのだと思う。


過剰に家族に気を使い、子どもに対しても顔色を窺い、親も子も対等な立場だと言い、友達の様な関係を築くのが理想だと言うものがいる。
それ、理想かな? 逆に子どもにとっては鬱陶しくならないかな?
新旧価値観の対立、意見の食い違いの中から、親を超えて、否、認めてもらうことが理想だと思うのです。

寺内貫太郎は、簡単に家族の意見を受け入れはしない。
それで飛び出されても、いつまでも心配している。見捨てることはない。

根底に愛があるから?...なんて、そんな理屈で威張りくさり、パワハラを繰り返す、どこかの組織長とは、寺内貫太郎は正反対なのだ。
本当に愛がある人は、恥ずかしくて蕁麻疹が出来るから、そんなこと軽々しく口に出せるはずがない。

何を言いたいのか?
分からなくなってきました。
泥沼にはまる前にやめておきます。


寺内貫太郎のモデルは、向田邦子さんの父親だそうですね?
あの「父の詫び状」での父と、同一人物ということになります。
向田さんも、そんな父に反発しながらも、その本当の優しさを懐かしんでいます。

良し悪しは別として、寺内貫太郎的頑固おやじが滅びそうなのは寂しい。


寺内貫太郎こと、小林亜星さん。

高木ブーさんと共に、デブでも長生き出来ることを証明してくれました。
もう少しだけ頑張ってほしかったけど、数々の名曲楽しませて頂きました。

安らかにお眠り下さい。

小林亜星さんの多くの名曲中、一番好きな曲を貼っておきます。(夜がくる)

https://youtu.be/z6A7Rj0gqsQ



今年最後のブログ更新になります。
 来年もよろしくお願いします。

ありま きねん。

「すいません、、あれ、観月ありさですよね?...」

銀座にあった「天狗」という酒場にて、隣席にいたOL風の美女2人組が、唐突にそう話しかけてきた。
目の前に現れた有名人に、そのサプライズ感を他の人と共有したかったのでしょうね? 私たち男3人は、有馬記念の反省会という名目で一杯やっていた。

だが、そこにいたのは観月ありさではなく、牧瀬里穂だった。

観月ありさじゃないですよ。牧瀬里穂だと思うんだけど。」

「ああ、、牧瀬里穂ですね...」

すると、牧瀬里穂の後ろから、少年隊の東山紀之がやってきた。
美女2人組の目はキラキラしている。
ちなみに、そこにいたのは牧瀬里穂東山紀之だけではなく、取り巻きというかスタッフらしき数人も一緒だったので、お忍びというわけではない。

牧瀬&東山 一行が去ったあとも、興奮冷めやらず、しばらく美女2人組とも話が弾み、私たち男3人に下心が出てきたのは当然のことだが、みんな不器用なのでそれ以上のことはなかった。

それより、目の前にいた牧瀬里穂
いい女だったな、、大ファンなのだ。


1991 12/22 第36回有馬記念

優勝はダイユウサク
この馬を思い出す度、大波乱を演じたこのレースと、その後の反省会で牧瀬里穂&東山紀之を見たこと、そして美女2人組と仲良くなったことを思い出すのです。
あのレースは、有馬記念史上最大の波乱になるのかな? その翌年のメジロパーマーの逃げ切りも驚いた。

・・・・・・・・・・・・・・・

以下は主観に基づき回顧します。


有馬記念の記憶は、スピードシンボリvsアカネテンリュウから始まり、もう半世紀以上になる。
当時、まだ小学生だった私は、プロ野球ONに匹敵するほどアカテン好きだったので、王者Sシンボリは、まるで吉良上野介のように憎かったな。

有馬記念史上最高の名勝負といったら、何と言ってもTTG決戦。
TTの強さに恐れをなし? 回避する馬続出の中、たった8頭立て事実上のマッチレースでありました。

「名勝負とオールドファンはいうけれど、あんな単調なレース、何処が名勝負なんだよ?」

後世の若いファンが、そう皮肉を込めて宣う。冗談じゃあない!その時代の空気を吸わずして、ビデオで観ただけで何が分かるというのだろうか?
あんな緊張感のあるレースはない。私などは、ファンファーレが鳴ってからゴールするまで、ずっと息ができなく死ぬかと思った程だ(笑)。
あれは、競馬版 力石徹vs矢吹ジョーで、あしたのジョーの世界観なのだ。


オグリキャップトウカイテイオーの、復活ラストランは胸が熱くなりました。ファンタスティック!
あの感動は何度も書いているので、これ以上多くを語る必要はないですね。


気性に問題があり、臆病でもあったナリタブライアンは、覆面をつけて変身した。まるで、仮面貴族ミル・マスカラスのようにスカイ・ハイ! 魔王となったブライアンは三冠馬となり、暮れの中山、有馬記念で大魔王となった。
そんなブライアンにガチンコで挑んだヒシアマゾンの姿も、勇敢なアマゾネスのようで忘れられない。


有馬記念
印象に残るレースは数え切れない。

あのディープインパクトが、国内で唯一敗れたのが有馬記念であり(ハーツクライ優勝)、シンボリクリスエスオルフェーヴルの鬼のような強さ。
ダイワスカーレットの鮮やかな逃げ切り勝ち。ゴールドシップの驚愕の大まくり。キタサンブラックのラストランにも感動しましたね。



まだまだありますが、長くなるのであの年の有馬記念を最後に。


1999年7か月
空から恐怖の大王が来るだろう
アンゴルモアの大王を蘇らせ
マルスの前後に首尾よく支配するため


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世紀末 1999年。

空から恐怖の大王がやってくる?

東海村で臨界事故はあったが、地球滅亡しないでやんの(笑)。
あれを本気で信じた人いるのでしょうか?

20世紀最後の有馬記念を勝ったのはグラスワンダースペシャルウィークとの一騎打ちでありました。

これも名勝負中の名勝負!

当時、アンチ武豊だった私は、河内洋騎乗のメジロブライトを応援。馬券的に的場均とは相性が悪かったので、グラスワンダーも買わなかったのです。

このレースの5日前。

競馬の神様、大川慶次郎さんが亡くなった。大川さんは「グラスワンダーが勝つだろう」と予想していたそうだ。
しかし、レースを見ぬまま逝った。
私はこの人が大好きだった。

これが、恐怖の大王の正体だったのかもしれないですね。

グラスワンダーの記憶と、大川慶次郎さんの記憶は繋がる。




さて、今週は、2021年有馬記念が行われます。

女王クロノジェネシスのラストラン。
そのフィナーレを飾るか?
それとも、エフフォーリアやタイトルホルダーが世代交代を為すか?
個人的には、あのタマモクロスからオグリキャップのような、見事なバトンタッチを見たい。

エフフォーリアが勝てば文句なし?の年度代表馬
クロノジェネシスが勝てば?

物議を醸した1999の年を思い出しますね? 国内で走っていない、エルコンドルパサーが、スペシャルウィークを抑えて年度代表馬になりました。

その前例からラヴズオンリーユーになる可能性もあります。


有馬記念当日をドキドキしながら待ちましょう。


んん~! このブログを書くにあたり、歴代の名馬を検索すると、萌え?と言われる変なマンガ画像ばかり出てきて愕然とし、鬱陶しくて仕方ない。。。(ウマ娘)
ファンの人はごめんなさい。

幻馬伝 「ドサ回りの女王」

とんでもない結末、、最期。
女王ホクトベガのラストラン。
異国の地ドバイで彼女は散った。

このレースを無事走り終えれば、帰ることの出来る遠い故郷に思いを馳せ、彼女は何を思ったのだろうか?

帰りたい。。。


「ベガはベガでもホクトベガ!」

彼女は中央のG1(エリザベス女王杯)を勝ったほどの名牝。
芝も走れる、、しかし、彼女が本領を発揮したのはダートに路線変更してからなのだ。その経緯は、多くの競馬ファンの知るところであり? 長くなるので省きます。

それから、長い長い彼女の旅が始まる。全国の競馬場で彼女は鬼神のような強さを魅せた。

「強い、強い! ホクトベガ。女王様とお呼び!」(南部杯での実況)


流れ流れてさすらう旅は♪
 今日は函館 明日は釧路♪
   希望も恋も 忘れた...♪

こんな歌がありましたね?

そんな旅路の果に辿り着いたのは、異国の地ドバイだったのです。
そして、その先にやすらぎの故郷に帰るはずだった。

あの悪夢。。。

その描写はあまりにも残酷なので控えよう。鞍上、横山典弘は今でも悔い悪夢を見るという。

その遺体は検疫の規定で日本へ帰ることが出来ず、タテガミのみ、関係者が持ち帰ったという。

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人は彼女のことを敬意を込めて「砂の女王」と形容する。
そんな凡庸なニックネームで足りるのだろうか?
差別用語?かもしれないが、私は敢えて言いたい。

ホクトベガは『ドサ回りの女王』
だったのだ。


レース中の事故で命尽きた名馬は数多い。
有名なところでも、キーストン、テンポイントサクラスターオーライスシャワーサイレンススズカ 等々。
その他 数え切れないほど名馬の悲劇を目の当たりにしてきました。

しかし、そんな中でも、私は彼女の、ホクトベガの最期は納得出来ない。
全国の競馬場を旅から旅へと渡り歩いた。そして、彼女の走りに、鬼神の如き強さに地元ファンは歓喜、熱狂した。日頃は寂れている地方の競馬場も、彼女の登場に賑わったそうだ。
浦和競馬場にも来てくれた。

その全てに全力を尽くし、過酷に働きに働き続けた。

その辿り着いた先で、あまりにも残酷で切ない結末。
彼女は故郷へ帰って、ゆるゆると幸福に暮らす資格があったのだ。


彼女が走ったドバイの地で、その後、日本のヴィクトワールピサが優勝(ドバイWC・当時の馬場はAW)した時、ホクトベガは降臨し、どこかで祝福していたと思いたい。そうに違いない。


ホクトベガを思い出す時、ドサ回りのストリッパー?
あの、ジプシー・ローズの光と影に重ね合わすのだと誰かが言っていた。



ホクトベガの最期はあまりにも残酷で切ないが、競走馬の大半は現役を終えると廃用とされる。
そんな、無名の競走馬のことを思えば、ホクトベガテンポイントライスシャワーは、名が残っただけでも幸せだったのだと納得しよう。

否、競走馬にそんな感情はない!
  ただ、故郷へ帰りたかっただけ。



“ 生きているうちが花なのよ
     死んだらそれまでよ ”


残酷だがそれが競馬なのだ。

酒とウマの失敗

「そんなに理性が強くて楽しい?」

大昔、ちょっと付き合っていた女にそう言われたことがあります。
要するに “面白味のない男” って、彼女は言いたかったのでしょうね。
自分で言うのもなんですが、私は自他共に認める真面目人間? まぁ、真正の真面目とは度合が全然違いますが、どちらかと言えばそうで、とにかく自分でも嫌になるほど自制心の塊。

ここで言う自制心とは、己に厳しくストイックというポジティブなイメージではなく、ネガティブな、、つまり臆病なのだと自覚しています。

『飲む・打つ・買うは男の甲斐性』
なんて言葉がございまして。

私は照れ性なので、「買う(艶話)」に関しては触れません。
ご想像にお任せします(笑)。

「博打(競馬)や飲み歩きをするお前の、どこが真面目男なのだ?」
という声が聞こえてきそうですが、自制心が邪魔をして、案外保守的で全てにおいて中途半端なのです。

「飲む打つ買うの道楽の限りを尽くせば、器の大きな人間に成長出来る」
という言葉が本当ならば、だから私は甲斐性がないのでしょうね。
否々、それは遊び人の言い訳でしょう?『酒は百薬の長』とはよく言いますが、『されど万病の元』という続きがあるのです。意外と続きを知らない人が多い。

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飲む打つ買うは男の甲斐性。されど、大失敗(人生アウト)の最大要因。


私は競馬というギャンブルが大好きと思われているかもしれませんが、ギャンブラーではないですね。
競馬というスポーツが好きなだけで、大きなリスクを負う買い方はしません。絶対に冒険はしない。
酒席でも、これ以上飲むとヤバイぞ!
いつもより口数が多くなって、変な人状態になってるぞ...と、冷静に見つめているもう一人の自分がいます。
そこで、がっちりガードを固め本来の自制心を発揮する。
場合によっては、理由を付けて帰ってしまうこともしばしばでした。

「そんなに理性が強くて楽しい?」

彼女にそう言われた時は、そんな風に見られていたんだ?...と、正直、ちょっとショックもありましたね。
そんな性格なので、この日記のタイトル『酒とウマの失敗』で書き始めましたが、大きな失敗はないですね。
小さな失敗は無数にありますよ。例えば、以前『ホッピー通り☆泥沼男』のタイトルで書いたようなこと等。それを一つ一つ記すのは長くなるので、今回はやめておきます。


器の大きな人間にはなれなかったが、大きなリスクは決して負わない。
そんな人生になっちゃったな。。。


とはいっても、道楽は殆どせず、インドア的な真正マジメ人間からすれば、私などはかなりの道楽者?
どこかで遊び人に対する憧れがあるのでしょう。寅さんみたいな。



最後に、色っぽい話は苦手なのでご想像にお任せします。と、先程書きましたが、一つだけ。


「お前は、噛みつき魔フレッド・ブラッシーかよっっっ!」

ふたりとも酔っていたのは確かだが、あの最中、女はおれの首筋(鎖骨辺り)をガブリ!と噛みついた。
「うわ!」と叫び、首筋は歯型とまではいかないが内出血。

当然冷めますよね?
急に無口になり、黙ってしまったおれに向かって彼女は言った。

「怒ってるでしょ!」

と、逆ギレする始末。

そうじゃないだろ!
すんごく痛いし、内出血してるんだよ。
怒ってる? 違う、お前怖いんだよ!
ドラキュラじゃあるまいし。


しばらくは、あの傷口を隠すのは大変だった。みっともないですねからねぇ。
今となっては懐かしい思い出です。


すいません!下ネタは苦手です。

もう二度としません(笑)。

大宮の夜は更ける。再掲。

今週は更新するネタがないので、過去の記事の再掲にて。
去年の年末、2回に渡って書いた記事。
『大宮の夜は更ける』

・・・・・・・・・・・・・・'・・・・

カニクリームコロッケの誘惑】

20代後半の初夏だったと記憶します。


恐る恐る、、私はその酒場?のドアを開けると、そっと中を覗いた。
ドア鐘がカランコロンと鳴る。


「いらっしゃいませェ~~!」

そこには青江三奈がいた。


私はほろ酔い状態だった。
出生地である大宮で、一日の外回り仕事を終え焼き鳥屋で軽く一杯やった。
大宮にはめったに来ることはなく、なつかしさのあまり、ほろ酔い気分で氷川神社参道をぶらぶら散歩していた時のことだ。

ん!... 
カニクリームコロッケ
私はメニュー看板に書いてあるカニクリームコロッケに誘われ、その店を覗いたのだ。

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「いらっしゃいませ! こちらへ、どーぞ、どーぞ...」

ドア口で戸惑っている私なんぞお構いなしに、青江三奈は店内のカウンター席を勝手に案内した。
ガラーンとしており、客は誰一人いない。ちょっと気が引ける。



大宮氷川神社参道から脇道に逸れた場所にあるその店は、外見からは和風料理屋のようであり、普通のレストラン風でもあった。
中に通されたそこは、カウンターだけの狭いスナックのようでもある。
私は、ただ、カニクリームコロッケに誘われただけで、推しの強そうな青江三奈に席を案内されてしまったのだ。

“ 覗いた瞬間、目が合っちゃったんだからしようがない。断れないよな... ”

青江三奈はお通しを通すと、メニューを差し出してきた。

「あの、、生ビール下さい」
「はい、生ね?」
「それから、カニクリームコロッケって、外の看板に...」
「はい、カニクリームコロッケありますよ!」

青江三奈はニッコリ微笑むと、裏の厨房のおじさんに注文を伝える。

しかし...
化粧の濃い ケバいママだな。
目が合った瞬間、青江三奈かと思った。似ている、、そっくりだ!
明らかな付けまつ毛は、瞬きする度にパタパタしているようで、妙に艶めかしい(笑)。BGMに伊勢佐木町ブルースが聞こえてきてもおかしくない。


「お客さん、今日はお仕事の帰りですか? 初めてですよね...」

「ええ、まぁ、、」

居心地が悪い。
青江三奈も、若い一見客にどう接していいのか?と、距離感をはかっているように感じる。何かと会話の糸口を探っているようなのだが、私からすれば “構わないで向こうに行ってくれ”
という心境なのだ。帰るタイミングを見計らっているのだから。

ここは普通の料理屋というより、和風スナックの類なのだろう。
カラオケもあるようだし、青江三奈のように派手なママの姿を見れば、どう考えても素人ではない。
駅からちょっと離れたこの手の店は、地元(近所)の常連で持っているような店と推測出来る。
私のような背広にネクタイ姿の若い飛び込み客は珍しいはずだ。
コロッケだけ食べそそくさと帰るのも、まるで逃げるようで、青江三奈も気分を害するのではないか?との気使いから、ビールの追加と、他にもう一品頼んだかもしれない。

「この辺りで生まれたんですよ。産業道路沿いに家があって、5才ぐらいまで住んでたんですよね...」

青江三奈との会話はぎごちないながらも、そんなようなことをぼつぼつと語ったような気がする。

小一時間ほどして時計を見ると、どうやら夜8時を過ぎているようだ。
話もあまり弾まず「お客さん、若いのに無口で真面目なのね...」なんて笑われる始末。私は初対面の派手な中年女との会話に気疲れを感じていた。
“ もうそろそろいいだろう...”
お勘定しようと腕時計に目をやった瞬間だった。


背後のドア鐘がカランコロンと鳴ると、牧伸二が入ってきた。


上下黒のジャージ姿。首にタオル(というより手拭い)を巻いており、汗をフキフキ、突っかけサンダルでパカパカと音をたてながら入ってきた。
その異様な姿にたじろいでいる私を横目に、一瞬、怪訝な顔をしながらも、牧伸二はカウンターの隅に座った。


やはり、ここは近所の常連で保たれている店なんだな。
じゃなきゃ、ジャージで来るか? しかも首にタオル、突っかけサンダルだぞ。まるで近所のタバコ屋に来たついでに寄ったような出で立ち。心の中で苦笑しながら、私はそろそろお勘定しようと財布の中身を確認した。

「今日は暑かったな! ママ、生ビールと枝豆ね」

牧伸二は声がでかい。
そして、青江三奈牧伸二は大声でバカっぱなしを始めた。
私は帰りたいのだが、二人のバカ話が止まらずお会計するタイミングが見つからない。場違い感がすごい。

カニクリームコロッケに誘われただけなのに...。

時間は9時になろうとしていた。
意を決して「お勘定お願いします」と、言おうとした時だった。
青江三奈牧伸二に耳打ち? 牧伸二がこちらに顔を向けると「どうも!」という感じで頭を下げてきた。
私もそれに釣られ頭を下げた。不覚にも愛想笑いを浮べてしまう。

「ママ、こちらのお客さんに生ビール追加してやってよ! あ、お兄さん、ここのオムレツ美味しいよ。ママ、例のオムレツもね」

「あ、いや、、、」

面倒くせぇ~! 牧伸二さんよ、馴れ馴れしいんだよ。

私は牧伸二の好意を断ろうとした。
すると、青江三奈は「あいよ!」なんて言いながら、牧伸二の伝票にチェックを入れ、厨房にオムレツの注文を通し生ビールを持ってきた。

迷惑なのに、迷惑なのに、、私はまたまた愛想笑いを浮べ「どうも、ご馳走になります...」と、内心を隠し牧伸二に向かって頭を下げた。
どこまでも人の好いおれ。

青江三奈に似たケバいママ。
牧伸二に似た、突っかけサンダルの馴れ馴れしいおやじ。

あんたら、おれの殻の中に無遠慮に踏み込むんじゃないよ。

面倒くせぇなぁ~~
早く帰りたいんですけど...。

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【星降る街角】


青江三奈牧伸二のバカっぱなしはまだまだ続いている。


ご馳走になったオムレツの味はまぁまぁだった。さっき食べたカニクリームコロッケも旨かったなァ...。
そんなことより、この居心地の悪さ。私は帰りたいのだが、オムレツ奢られちゃ、すぐ帰るわけにもいかない。

青江三奈は、そんな私の様子(表情)を窺うように、時折チラッチラッと、視線を向けてくる。私が楽しんでいるのか? 居心地が悪いのではないか?と、心配なのかもしれない。見た目はケバく派手なママだが好い人なのは間違いなさそうだ。

「お兄さん、このママ美人でしょ? 大宮の五月みどりだからね。」

「え? あはは!」

私は心の中で「うっ...」となった。
《違うだろ! 青江三奈でしょ? そして、あんたは牧伸二

牧伸二の冗談?に、あはは!と笑った私の反応を見て、青江三奈は安心したのか? とんでもないことを言い出す。

「カラオケでもしましょうか?!」

「あ、いいね、いいね♪」

おい おい おい!
カラオケ始まっちゃうのかよ?
勘弁しておくれよぉ~
おれは帰るんだもんね。絶対帰る!

面倒くさいことになったぞ、、と、困惑している私をよそに、牧伸二は喜々として歌詞本を捲っている。

時間を確認すると10時近くになっているようだ。


ちゃん ちゃちゃちゃ♪

聞き覚えのあるイントロが流れてきた。
厨房にいたおやじが、いつの間にか出てきて「ウォンチュー!」と、掛け声をかける。

( ワン ツー)
星の降る夜は あなたとふたりで
 踊ろうよ流れるボサノバ
   ふれあう指先ああ 恋の夜 ...♪

ん... ムード歌謡だな。
星降る街角?
敏いとうとハッピー & ブルーかよっ!
垢抜けねぇなぁ~ おい!
お願いですから勘弁しておくんなさい。自分はカニクリームコロッケに誘われただけなんです。

牧伸二の熱唱にリズムをとっている青江三奈と厨房おやじ。
茫然自失で心ここにあらず状態の私に視線を送ってくる青江三奈

もの凄い同調圧力

私は歌詞本を捲ったら負けだと強く思いながら、星降る街角のリズムに適当に合わせた。

何が悲しくて、見知らぬおやじの歌に合わせて、手拍子だの「ウォンチュー!」だのと掛け声かけなきゃならないのだ。 カッチョわりぃ~~
この牧伸二は突っかけサンダルなんだぞ。しかも、黒ジャージに首に手拭いだ。ここは狭いカウンターだけの店で無理ではあるが、ステップ踏みそうな勢い。恥ずかしいだろがっっ!

興に乗った牧伸二は、その後2~3曲歌うのだが、青江三奈は何を思ったか?奥の方から物騒なものを取り出してきた。

タンバリンにマラカス。。。

青江三奈はマラカスを私に渡すとニッコリ微笑んだ。

かっこ悪い...。
突っかけサンダルおやじの歌に合わせて、タンバリンとマラカスでリズムをとっている青江三奈と私。
こんな姿を家族友人知人に見られたら大変だ。恥ずかしくて、舌噛んで死ぬか、置き手紙を残して失踪するしか方法がないじゃないか(笑)。

ええい! もうどうにでもなれ!

不本意ながら、その後、私は青江三奈とデュエットで「男と女のラブゲーム」を歌う羽目になる。


そうこうして、時間は過ぎてゆく。

青江三奈牧伸二も、ちょっとありがた迷惑ではあるが、気の好い人達なのだろう。
恥ずかしい思いもしたが、ほっこりした気分にもなった。


背後のドア鐘がカランコロンと鳴った。2~3人連れのお客さんが入ってきたようだ。

時計は11時をとっくに過ぎている。
「それじゃあ、お勘定お願いします」
そのタイミングで、私はやっと帰ることが出来るのだった。



「今日はありがとうございます。これに懲りず、また、来て下さいね」

青江三奈は情が深い人なのかもしれない。かなり、私に気遣っていたことは分かっていた。

「いいえ! 楽しかったです。御馳走さまでした」

奥の方から、牧伸二が「お兄さん、またね!」と、声をかけてくれた。

青江三奈は戸の外まで見送ってくれる。「じゃあ!」と言って、私は参道を大宮駅の方に向かって、てくてくてくてくと歩いていった。
しばらくして振り返ると、青江三奈はまだこちらを見送っていた。そして、手を振ってくれた。
少々照れくさくもあるが、その心遣いが嬉しくもあった。

ケバい女の人は情が深いのだ。

ありがとう、青江三奈
そして、突っかけサンダルの牧伸二さんも。


夜空には星が。
“ 星降る街角か?” と、私は呟いた。
今日は良い日だったな...。

大宮の夜は更ける。

球星伝 「フェンスの向こうの伝説」

field of dreams(中)大谷翔平ウルトラマン
https://okeraman.hatenablog.com/entry/2021/10/23/154723
よりの続き。


沢村栄治なかりせば、私もいない』
野村克也氏の言葉である。

この言葉の意味はお分かり頂けると思う。先だって、メジャーMVPを受賞した大谷翔平にしても、少年時代に憧れた存在は松井秀喜だった。
タラレバになるけども、そんな憧れの存在なくして現在の彼があるのだろうか? 野球選手を目指していない可能性すらある。

そんな松井にしても、イチローにしても、メジャーであれだけ活躍出来たのは、野茂英雄という先駆者がMLBへの道を切り拓いたからかもしれない。
野茂英雄も少年時代に憧れたのは江川卓だったという。

そうやって、連綿と続いてきた。


テレビで張本勲氏が暴言?を吐いて多数の批判が寄せられた。それは当然であると思う。しかし、そんな批判の中で不快感を覚えたものがある。

「張本のいた時代なんてNPB発展途上でレベルが低かった...」

なんて言う人が結構いたこと。
当時よりNPBのレベルが格段に進歩したことは否定しません。
昔よりレベルが落ちていれば、そのスポーツは滅びてしまっている。


あの、伝説の長距離ランナー。
「人間機関車」エミール・ザトペックのマラソン記録は、現代でいえば日本女子マラソンの記録にも遠く及ばない。ベスト10にも入らないだろう?


それを発展途上だのレベルが低いだの、、張本と同時代に活躍していたONをはじめ、多くの名選手に対する侮辱であり、それに憧れて野球選手になったもの、ファンも大勢いるのだ。

日本の野球ファンはまだまだ未成熟だと感じる。
アメリカのMLBファンとの気質の差? もっと根本的な野球文化とベースボール文化の違いを感じます。

MLBファンは過去の名選手に対する敬意は深い。


イチローMLBで記録を作った時。
こんないい話があった。

新人最多安打(233)更新
前記録保持者のジョー・ジャクソン

年間連続200安打(9年)更新
ウィリー・キーラー

シーズン最多安打(258)更新
ジョージ・シスラー

そのたびに過去の大記録が再びスポットライトを浴び、忘れ去られていた伝説の打者を次々に現代に甦らせたのです。メジャーファンは、そんな19世紀末~20世紀初の名選手に思いを馳せ、熱く語ったそうなのだ。
遺族はそんな祖父?の記録が抜かれて悔しがるどころか、再びその名前が世に出て、多くのファンがそのキャリアについて熱く語ってくれことが嬉しかったそうです。当然ですよね。

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これこそ、ベースボール文化。
 否、スポーツ文化だと思います。

なぜ、日本の野球マスコミは、今シーズン、史上最年少で通算100号本塁打をヤクルト村上崇高が達成した時に、前記録保持者である中西太のことを取り上げないのか?バカじゃないかと思う。


アメリカはその町の数だけ、野球にまつわる伝説のある国。
現実に眼前で繰り広げられるプレーヤーだけでなく、フェンスの向こうの伝説。神話の種が蒔かれている。

かつて、アメリカではカーニバル野球というものがあったらしい。
各町のカーニバルにプロ野球チームを招き(マイナーリーグだと思う)、地元の野球腕自慢が挑戦する。
そこで活躍すると、プロからスカウトされるものも少なくはなかった。
そして、メジャーリーガーになるものも稀にいたらしい。


こんな話がある。

「奴は運がなかったのさ。知ってるかい。本当はあいつが上に行くはずだったのに、肝心な時になって歯が痛み出してさ。他の男にチャンスをくれることになった。代わりにメジャーリーグに上がって行った男? スタン・ミュージアルって奴よ」 吉目木晴彦「魔球の伝説」引用。

かくも素晴らしきベースボール文化。

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前回の field of dreams というタイトルから「球星伝」に変えました。

今後の野球ネタは「球星伝」に統一します。競馬ネタは「幻馬伝」にするかな。