オケラ街道の奇人

令和という斜面に踏み止まって生きる奇人。自称抒情派馬券師、オケラ街道に潜む。

恋文の想い出(前)

当然のことではありますが、ここでの登場人物名は全て仮称です。
私自身も仮に「児島」とします。


中学二年時のこと。
給食の時間になると、当番がその用意をする。その間の出来事でした。
私は席で漫画本を読んでいました。
何という漫画か? 記憶はないのだが、多分、ジョージ秋山氏の漫画だったと思うのです。

すると、そこへクラスメートの須藤美樹が近付いてきました。

彼女は私と同じ陸上部で、女子と接するのが苦手だった私にしては、比較的話しやすい女子でした。
そんな彼女が近付いて来ると、周囲を見まわしながら、ヒソヒソ声で言うのです。

「児島君、ちょっといい?」

「・・・?」

なんとなく、言い難そうな、緊張しているような、、真剣な眼差なのです。その真剣さに私もたじろぐ。

「児島君が好きだって...」

「(;゚Д゚) うへ! ???・・・」

吃驚しました。
てっきり、須藤美樹に告白されたと思いましたよ。
彼女は多少影のある女子でしたが、シャープで、可愛いというより、美人タイプでしたね。私も少なからず好意を抱いていたと思います。
まだ14才だったし、恋愛に関しては疎い私でしたから、心の準備もないのにいきなり告白されたら、照れくさくて、頭に手をやりながら「テヘへ!」と言いながら逃げてしまうこと確実。


ちなみに、この須藤美樹のことは、以前このブログに書いています。
https://okeraman.hatenablog.com/entry/2020/11/15/061346

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須藤美樹が私のところにやってきた目的は? やはり、恋愛関係でした。

隣のクラスに、須藤美樹と仲の良い、林聡子という女子がいる。
須藤美樹の話しでは、林聡子は私のことを好きらしく(自分で書いていて一人照れ笑いを浮かべる)、手紙を書いてきたので、もらってやってくれるか?
そういう内容でした。
生まれて初めての恋文ですよ。恋文!
自分からの恋文ならまだしも、私が女子からもらうなんて。
嬉しいやら、恥ずかしいやら...。
照れながらも、私は恋文を受け取ることをOKしました。
放課後に渡しに来るということです。
須藤美樹は、親友からの大切な伝言という責任を果たしたせいか? ほっとしたように自分の席に戻る。


放課後。。。

部活中です。
キューポラの街でしたから、母校には聖火台があったのですが、そこで陸上用アップシューズから、スパイクに履き替えていると、同じ陸上部、須藤美樹が近付いてきました。

「今、あそこにいるから...」

私は “どんな女子だろう?” と思いながら、恐る恐るそこへ向かいました。

そこにいた林聡子は、私の知る顔でした。当時、あの中学は近辺三つの小学校卒業生が、合流して通っていたのです。彼女とは別の小学校出身だったのですが、小学校5 ~6年と、同じ学習塾に通っていたのです。
それは、中学に入ってからも気づいていましたが、話したことは皆無。

小柄で大人しめの、どこにでもいるような、普通の女子でしたね。

彼女はペコリ!と頭を下げると、キレイな封筒を渡してくれました。
私は テヘへ!と、照れながら受け取りました。すると、彼女は恥しそうに走り去っていきました。私はあの後ろ姿を、残像となって、今でも忘れていないのです。

私は周囲をキョロキョロ見まわし、友達に気付かれないように、教室に戻ると、鞄の中の教科書の間にそれ挟んで隠しました。

私が一番恐れるのは、このことを友達に知られて噂になること。


だってね...。

昭和40年代のキューポラのある街という、田舎街ですからね。
女の子と二人で仲良くしているのを見られたら大変なことになります。
それこそ、黒板に相合傘書かれます。

男と女がまーめ(豆)んち♪
 まーめが出来たらちょうだいな♪

こんな冷やかし唄が流行っていた街、時代でした。

なんせ、、全員が丸刈り強制、垢抜けない中防ばかりでしたから(笑)。


この話し。
長くなりそうなので、次回に続けます。

ところで「初恋は甘酸っぱいレモンの味」って言われますが、どういう意味なんでしょうね?
自分で書いて赤面しそうですが(笑)