オケラ街道の奇人

令和という斜面に踏み止まって生きる奇人。自称抒情派馬券師、オケラ街道に潜む。

妄想・オケラ街道の少女(13)一番センター〇〇くん!

中学卒業アルバムをめくりながら、おれは中山競馬場帰りに会った50年前のおれのことを思い出していた。あの少年の脳内は遠い日の少女静香ちゃんのことで、その妄想でいっぱいのはずだ。しかし、少年は年が明けると高校受験そして中学を卒業しなくてはならな…

妄想・オケラ街道の少女(12)あっしには関わりのないことでござんす。

少年は吸い込まれるようにカウンター席のおれの横に腰掛けた。こんな子どもが、汚い競馬オヤジばかり集まる酒場に一人、、、補導されても知らねえぞ!とも思ったが、「あっしに何か用でもあるんで?」と聞いてみた。この時、既にこの少年が50年前のおれ自身…

妄想・オケラ街道の少女(11)謎の少年。

嫌な夢だった…。チグサはおれの顔を見ると子犬のように尻尾を振って寄って来ると思っていたのは自惚れだったのか? 信じられないことにシカトされたのだ。 おれのことなんか眼中にないかの如く一瞥もくれない。否、向こうからやってきたチグサと行き交う際、…

妄想・オケラ街道の少女(10)警告

部屋の片隅にチグサの存在を感じた。しかし、それはまだ忘れることの出来ないチグサへの残想だ。あの日、西船橋から武蔵野線に乗ると窓景色の向うからチグサがおれに向かって手を振っていた。どんどん車窓から後ろ後ろへと遠ざかるチグサ。あれは、おれの幻…

妄想・オケラ街道の少女(9)ストーカー。

おれがストーカーと化したのはいつ頃だったのだろうか?静香ちゃんとは母親同士が仲良かった関係もあり、物心がつく頃からのガールフレンド? まぁ、幼馴染みだった。おれが小2の時に、彼女(小1)は引っ越して行った。それから7年半の時が経ち再会した静香…

妄想・オケラ街道の少女(8)遠い日の静香ちゃん。

西船橋から電車に乗り車窓から外を眺めていると、通りにチグサがぼうっと突っ立ちこちらに手を振っている。 チグサ! 否、あれはチグサではない。あの頃のおれだ…。 そんな思いにとらわれた。「わたしはあの頃のおじさんだよ…」別れ際、チグサはそう言った。…

妄想・オケラ街道の少女(7)あの頃のおれ?

おれは思いっ切り転倒した。この数年急激な体力の衰えを自覚していながら自分の歳も省みずこんなに飲んで走ってしまったから当然だ。 そんなことより、、チグサ!チグサ! 立ち上がった。挫いたのか? 思うように歩けない。足を引きずりながらも前に進んだ。…

妄想•オケラ街道の少女(6)うるせい!デブ。

気のせいだろうか? 幾分チグサの背が伸びたような気がする。それにその表情も大人びて見える。6日前の日曜朝、チグサが消えてからというもの、心配で心配でおれは眠れぬ夜を過ごしていた。それに追い出してしまったようで自己嫌悪もある。目の前でニッコリ…

妄想•オケラ街道の少女 (5)うしろの正面だーれだ?

朝起きるとチグサの姿がない。 昨夜、あれからおれは黒霧島の水割りをしこたま飲んだ。あんなチグサのような少女とふたりっきり酔ってなきゃ間が持たないからだ。おれはチグサに「明日は帰るのだぞ」と何度も念を押し、彼女が予言的中させた馬券25万円を丁寧…

妄想•オケラ街道の少女(4)振り向くな 後ろには夢がない。

チグサは不思議な少女だ。年齢より大人びた印象を受けるが旨そうに弁当を食す姿はあどけなさも残る。 フラッシュバック! 50年前のおれはチグサと同じ15才。 おれは茶の間に教科書と辞書、参考書を持ち込みテレビの前に座った。 ドキドキしていた。その日は…

妄想•オケラ街道の少女(3)チグサ!お前はあの頃のおれなのか?

昼近く、ポツリと雨が降ってきた 。 それはザーザー降りとまではいかないが、次第に烈しくなってゆく。おれは窓を開けると空を見上げながら考える。 昨日は10年に一度あるかないかのウルトラ万馬券を当てた。その勢いのまま、今日も勝負するつもりだ。又、中…

妄想・オケラ街道の少女 (2)ナスノチグサ。

https://okeraman.hatenablog.com/entry/2023/10/25/010126 からの続き ここは自宅。この少女を連れて電車で帰ったようだ。ベッドから出た少女の姿を見ておれはホッとした。ブルー・ジーンズに長袖の白シャツ。昨夜オケラ街道で蹲っていた時と同じシンプルな…

妄想•オケラ街道の少女

目覚まし代わりのラジオからパーソナリティーの騒がしい声が聴こえてきた。朦朧とした意識の中、おれは違和感を覚えそっと目を開けた。 ??? 飛び起きた! 同じ布団の中に女が、否、少女がスヤスヤと眠っているからだ。(この娘は誰なんだ?)微かな記憶はあ…

ゴースト・タウン

この辺りでたまに一人飲みしていた。若い頃サーファーだったことを語りたがるマスター経営の純喫茶はなくなった。ブックオフは潰れ小さいマンションが代わりに建った。ライスカレー推しのちょっぴり怪しく暗いけど安い立ち飲み屋は貴重だったのに滅びてしま…

カラス。

早朝。おれは両手にゴミ袋を抱え、つっかけサンダルでスタスタと自治会のゴミ集積場所に向かう。目の先に黒い物体がピョンピョン飛び跳ねている。ゴミ溜めから覗く残飯を狙う数匹のカラスのようだ。おれは奴らを刺激せぬよう静かに集積所に近付いた。奴らも…

終戦記念日? 同期の桜。

貴様と俺とは 同期の桜 同じ兵学校の 庭に咲く♪咲いた花なら 散るのは覚悟 みごと散りましょ 国のため♫ まだカラオケボックスのない時代。当時勤めていたのは銀座線三越前近くの会社で、私は仕事帰りに同僚数人とバー(スナック?)に入り歌いまくっていた。…

”(再掲) 本能寺炎上! 黒い巨人あらわる。

先週の大河ドラマで本能寺の変があったので、それに関連して再掲。 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 炎上する本能寺。 その炎の中から飛び出して来たのは、鬼神のような黒く大きな影だ。 「うおおおおおお!」 黒い巨人は、悪魔のような叫び声をあげながら…

千の天使がバスケットボールする。

記憶というものは遠くなるに従い、それは後付の記憶も混じり大袈裟に夢かうつつか判断に困るものがある。 まだ20代半ば40年程むかしのこと。 真夏、暑い日だった。 池袋のビヤホール(ライオンか?)にて友人3人と飲んでいると独逸人のグループだろうか? 陽気…

こんな夢を見た『圭子の一吼え、長崎に雨を降らせる』

夢というものは、どんなに知的で年配になっても、老若男女関係なく荒唐無稽で欲望丸出しで他人には恥ずかしくて語れないものが誰にでもあると思います。まず、教養的な夢は見ない。(不安の夢化が一番多いかな?) 今月、65才になったというのに、またまた実に…

蒸発。

昨日は七夕だったので関連?した遠い日の記憶を書きたいと思います。 キューポラのある街(川口市)に越して来たのは物心が付いてきた頃か?父が働いていた鋳物工場(伯父経営)構内にある空き家に住むためです。小さな工場で、従業員は伯父と父以外は常時5~6人…

球星伝『お~~~い、のび太よ!』

越谷レイクタウン近辺をウォーキングしていると、中川近くのグラウンドで子どもたちが野球をしていた。ちゃんとした試合であり、この蒸し暑い中 “ガキは元気いいなぁ” と思いながらそのままネット裏で観戦。コンビニで買ったペットボトルのウォーターをごく…

墓地からの使者。

死して埋葬された女の体内には子が宿っていた。生命力強い胎児は母の腹を突き破ると墓から脱出するというゲゲゲな行動に出た。新生児の両親は既に病死しているが、たった一人で野に放たれた子を案じたのか? 父の左目に魂が宿る。左目はポロリと抜け落ちると…

ぼっち。

あれは小学校3年生の頃だったかな?新学期になると恒例?の席替えがあったと記憶するのです。 担任教師「それでは仲の良い人同士で自由に組んで下さい!」 当然、私は気の合う田代君(仮名)か稲葉君(仮名)の方に顔を向けると、そのふたりは既に一緒に組んでい…

幻馬伝『吉永正人スペシャル!』

幻馬伝『赤い糸伝説』https://okeraman.hatenablog.com/entry/2023/05/24/200615からの続きです。 漆黒のビロードのような肌は陽光を浴びると反射するかのよう。顔付きは母シービークインとそっくりで、特にそのクリッとした瞳に見つめられると、皆、シービ…

幻馬伝『赤い糸伝説』

幻馬伝『感情移入』https://okeraman.hatenablog.com/entry/2023/05/13/155327からの続きです。 1976年1月31日。長い競馬史の中で最も有名な伝説の新馬戦が行われました。 (ここからは妄想) “ わたしが一番速い!” シービークインは女の子(牝馬)でありながら…

幻馬伝『感情移入』

他のスポーツや芸能関係でもそうなのだが、史上最強(最高)論争って昔からよく議論されることだけど、それに違和感を持つ人は結構いると思う。 ここでは競馬に限定。 「クリフジだ、シンザンだと言っても競馬発展途上時代の馬、現代なら一冠も獲れない。下手…

一応、18禁です。

今回の更新は18禁かな? 女の美しく繊細な親指と人差し指がシュッと伸びると男の耳朶に触れた。女は男のそれをつまむと、顔を寄せ吐息を耳奥にフッと送った。唇をすぼめストローで吹いたような細い吐息はこそばゆく奇妙な快感を伴う。男は女を抱き寄せその胸…

水牛。

松下君(仮名)は私の数少ない友人の中でも特に仲が良かった。大学時代最初に話すようになったやつで、彼は山形出身東北弁のいかつい大男。 まだ付き合いが浅かった頃、私の話に同調するとき「んだ!んだべ、、」と言ったもんだから私は指を差してゲラゲラ笑っ…

こんな夢を見た『逃げる男三本立て』

その① 『駐車場』 何処の駐車場かは不明だ。とにかく狭いので何度も切り返しながら枠に入れようとする。すると、駐車場入口から “早くしろ!” と言わんばかりのクラクションが鳴らされた。“ うるせーんだよ!” と思い、威嚇的な目を向けると入口付近に車が何…

歪なラーメン(屋)考。

ラーメン! なんと扇情的でwonderfulな言葉の響きなのでしょうか?世にラーメンなんかより旨い食べ物はいくらでもある。 しかし、ラーメンほど満足感があり心を満たす食べ物はあまりないように感じる。 ラーメンは経済負担が少なく簡単で気楽に食べることが…