オケラ街道の奇人

令和という斜面に踏み止まって生きる奇人。自称抒情派馬券師、オケラ街道に潜む。

ゴースト・タウン

この辺りでたまに一人飲みしていた。
若い頃サーファーだったことを語りたがるマスター経営の純喫茶はなくなった。ブックオフは潰れ小さいマンションが代わりに建った。ライスカレー推しのちょっぴり怪しく暗いけど安い立ち飲み屋は貴重だったのに滅びてしまった。
ここは草加市内のある駅前商店街があった場所です。

駅前開発ですよ。

 

静寂、散り際の美…。
滅びの美学というのだろうか?

紛れ込むと神隠しに遭いそうな路地裏。つげ義春の漫画に出て来そうな怪しい人々がヌエのようにごろついている。
(こんな奴らのようにはなりたくない)
そう思っていても何故か居心地が良い。

「お兄さん、遊んでいかない?」

真っ赤な口紅を塗った得体の知れないケバい中年女に声をかけられた。
(お兄さんだって? おれはオヤジだぞ)
目を合わすと何処までも着いてくるかもしれない。面倒くさいので苦笑いを浮かべながら私はシカト素通りだ。

いかにも昭和商店街風情の八百屋さん。
あの威勢のいいおじさんはどうした?
ああいう呼び込みは天然記念物だったのに文化?の損失だと思う。
細々とだったけど、昔ながらの魚屋さんもあったのです。
客が入っているところをあまり見たことがないラーメン屋もあった。あれで20年以上もどうやって経営出来たのだ?
電信柱には「骨つぎ」の看板。

 


 
みんな、みんな、、絶滅だな。

埼玉のくせに、草加のくせに、ここはどう開発するのだろうか?
オシャレタウンは似合わないぞ。
(街の名誉もあり駅名は伏せておきます。分かる人にはわかりますね)

未来はどうなるのだろうか?

日本は衰退し朽ちてゆく未来。
「現代のスクラップ」にならねばいいのだが。否、私の肉体は滅びゴーストになっているがきっと美しく変貌するだろう。