オケラ街道の奇人

令和という斜面に踏み止まって生きる奇人。自称抒情派馬券師、オケラ街道に潜む。

恋文の想い出(後)

林聡子との交換日記は、3~4ヶ月続いたと思います。どんなことを書いたかはあまり記憶がないのです。
只、恥ずかしいことを書いていたのは絶対的に間違いないでしょう。

もし、あの日記帳が時空を超え蘇り、現在の私が読まされたのなら? 恥ずかしさの余り、舌噛んで即死を選ぶと思います(笑)。絶対耐えられない!

さて、交換日記を通じての稚屈な恋の行方は? 結論から先にいえば、それは自然消滅という当然の帰結となった。
その理由の大半(というより100%)は、私側にあったのは間違いない。

林聡子からの求愛は嬉しかった。
落ち着いていて容姿もそこそこの彼女に対し、私も “けっこう可愛い” なんて思ったのも正直なところ。
しかし、異性から求愛を受けるには、当時の私はあまりにも未熟だった。

どうしていいか? 分からない。

この『恋文の思い出』の中でも、繰り返し述べているように、私は周囲の友人に知られ噂になることを極端に恐れていた。つまり、周囲の目ばかり気にしていたということになります。
そんな私を見て、彼女はどう思ったのだろうか? 女子はカンが鋭い!

そんな私の気持ちは、ある一定世代以上の男性陣には、共感とまではいかなくとも、何となくわかって頂けるとは思うのですが...。
でも、女性陣には大顰蹙でしょうね?
それは分かっているのです。

須藤美樹を通じて林聡子のラブコールを受け、その後の交換日記からフェードアウトするまでの約半年間。
その間、目礼をすることはあっても、二言三言話した程度でした。
卒業してから、極近い友人数人には話しましたが、周囲の男子誰にも気付かれませんでしたね。しかし、女子の間ではけっこう有名だったそうです。
世間では「男は口が固い、女はお喋り」とはよく言われるが、殊、こういうことに関しては口が固い。
男子と違って、女子同士の連帯感は強いように思うのです。

違うかな?

あの年代は男子と女子とでは精神年齢が圧倒的に違う。幼稚な男子と違い、大人の女子には分別がある。
そういう意味では、中学生の男女交際は難しいと思う。
あの頃の自分は世間知らずで、未熟な子どもだったのでしょう。

周囲の目を意識して、恋に臆病になる私の性質は、後人生の恋愛関係にかなり影響していると感じます。
否、恋愛関係だけでなく人生そのものに大きく影響を及ぼしている。

寅さんのようになりたかった(笑)。

その後の人生において、女性の方からラブコールを受けたことは、残念ながら記憶ないですね。振られたことは数え切れないほど?? 否、遠くから眺めているだけで、意思表示することもなく諦めてしまうことが殆どだったと思います。
自己完結してしまう悪い癖。

林聡子とのことは、遠い日の淡い恋としていい思い出です。


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ところで、私と林聡子の仲を取り持とうとした須藤美樹は、私にとっての初恋の相手です。中学の時は意識してなかったのに、卒業したら気付いた。
それも告白することもなく、片思いのまま思い出の彼方に。。。
彼女のことは『初恋』のタイトルにて、このブログに書いています。
クールな女子でしたね。


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おれは浅草の立ち飲み屋で、競馬新聞片手に競馬中継を観ている。
また、ハズレたのかよっっ!
チューハイ飲みながらクダを巻く。

そこに少年がやってきた。

「きみは? あの時の...」

「そうだよ! 50年前のおじさんだよ。
おじさん、またハズレたの? あまり、お酒も飲まない方がいいよ。」

少年は、おれが飲んでいるチューハイと、モツの煮込みを覗き見ている。

「おう坊主、食うか?」

「おじさん、もっといい店で、もっといい物食べた方がいいよ。」

おれは少年に、来年ハイセイコーという馬が出てくることを教えようか?迷っている。でも、それはルール違反だろう。時空を歪めるかもしれない。

「おじさんも、頑張れよな!」

おれは、14才のおれに説教された。


終わり。