「ちょっと勝っちゃんをイジメてくるからな...」
若き日の松方弘樹。
そう言い残して出かけて行く、父の後ろ姿が印象深いと、そんな回想録?を何かの雑誌で読んだことがある。
『座頭市血煙街道』
その、勝新との対決シーン撮影の日のことである。誰もが認める? 時代劇役者最高峰剣技の持ち主。松方弘樹の父である近衛十四郎のことである。
松方弘樹の話によれば、通常は撮影本番の日でも前夜からの二日酔い状態でお酒大好きの父が、勝新相手には一滴も飲まず、それなりの覚悟、緊張を持って撮影に臨んだそうだ。
「若手時代劇役者で、一番巧いのは?」との問に、近衛十四郎は勝新太郎の名前を挙げたそうである。
所属する東映俳優を差し置き、勝新の名を挙げるなんて、どれだけ認めていたか?ということだろう。
近衛十四郎。
あれだけの長刀を縦横無尽に操れる役者は近衛十四郎を置いて他ない。
速い!完全無欠の殺陣。
対する勝新座頭市の居合は鋭く、緊張感あり殺気と情感があった。
当時の頂上決戦と言っても過言ではない。私の知る限り、時代劇史上、龍虎相打つ最高の一騎打ちと断じたい。
座頭市が負けてしまうのではないか?という緊張感。
特に、近衛十四郎の剣技は圧巻。
「剣聖」という称号は伊達ではない。
時代劇役者史上、最強殺陣の持ち主は誰なんでしょうね?
近頃のテレビ番組は面白くない!
なので、私は時代劇チャンネルで古い時代劇を観ることが多い。
すると、当時は気にもしなかった松方弘樹の殺陣が鋭いのに気付く。
あれは、父(近衛十四郎)の血ですね。
松平健、里見浩太朗、北大路欣也、高橋英樹、杉良太郎、、等々。
近衛、勝新以降でもそれなりに巧い役者はいたのだが、私は松方弘樹の殺陣を評価したい。
では、歴代最強は?
月形龍之介、大河内傳次郎、市川歌右衛門、市川雷蔵、その他。
う~~ん... ごめんなさい。
そういう声もありますが、古すぎて詳しくは知りません(笑)。
時代劇全盛の時代。とんでもない名人はいたかもしれませんね?
「近衛十四郎だ、勝新太郎だと言うけど、本当にうまいのは月形龍之介や大河内傳次郎だ!」と、古き時代を知る老人が言っていました。
それは、肯定も否定も出来ません。
それは省き、私の知る限りでは?
一般的には。
が、四天王とする説が強く、それに加えて「オレよりうまい!」と、勝新に言わせる、その兄、若山富三郎。
若山さんは本当に凄い! あの近衛十四郎に匹敵するかも? でも、申し訳ないけど、なんせ華がない。
三船敏郎と中村錦之助は賛否ありそうですね?
特に三船敏郎は不器用だと言う人も少なくありません。
勝新の鋭さ、近衛さんの懐の深さなく雑な感じも受けますが、野性味と力強さがありますよね?
三船さんの真骨頂は騎馬シーンにあります。黒澤明曰く、あれは他の役者に絶対真似は出来ない。
中村錦之助は? 三船敏郎の殺陣とは対照的に器用ではありますが、小さくまとまり過ぎている。しかし、圧倒的な華がある。あれは天賦の才。
宮本武蔵を演じた役者といえば、絶対的に中村錦之助。佐々木小次郎を演じた、あの高倉健が錦之助のオーラの前に霞んでしまっている。
殺陣のうまい役者は? というのは、多分に主観的なものであると思います。
でも「るろうに剣心」の佐藤健と、勝新や近衛十四郎を較べるような失礼なことはなしね。
(ファンの人はごめんなさい)
やられ役の福本清三さんは認める。
時代劇が滅びそうですね...。
「素浪人 花山大吉」
,「木枯らし紋次郎」
「子連れ狼」
「鬼平犯科帳」
「大岡越前」
「必殺仕掛け人」
「大江戸捜査網」
「破れ傘刀舟」
「銭形平次」
「遠山の金さん」
「暴れん坊将軍」
「水戸黄門」
等々。