オケラ街道の奇人

令和という斜面に踏み止まって生きる奇人。自称抒情派馬券師、オケラ街道に潜む。

シャドーロールの怪物

東京等で“不要不急の外出は控えて下さい”の要請が出たこの週末ですが、本日は中京競馬場高松宮記念が行われます。今年最初のG1レースですね。

高松宮記念で思い出すのは、1996 G1昇格初年度。
三冠馬ナリタブライアンが、スプリントレースに参戦する!」
当時、衝撃を持って伝えられました。ましてや、3200の天皇賞(春)を走ったばかり。無謀との声も多くありましたが、私は競争馬の専門家ではないので、それについての言及は控えます。

第三コーナーから第四コーナーにかけて、ブライアンの首が上下動すると、白いシャドーロールが揺れる。
 ジワリ.. ジワリ.. と。 先頭に取り付いてくる。直線でシャドーロールは一気にスパートし後続を置き去りにする。
こんな怪物に勝てる馬はいるのか?
ナリタブライアンのパフォーマンスについては、多くを語る必要はないですね。

史上最強馬論争になると、シンボリルドルフディープインパクトオルフェーヴル等、他の三冠馬の名前が挙がることが多い。しかし、全盛期だけの比較ならナリタブライアンが最強ではなかっただろうか? そんな声も多いですね。故障さえなければ?そんな幻想を抱かせる馬です。


くしくも、現役最後になってしまった高松宮記念
私は何度観ても哀しい.. 専門外の距離を走らされていることにではない。それでも彼はもがいて、もがいて、、4着まで追い上げてきた。王者のプライド?そんなことは、馬にわかる筈がない。その必死さ、競争馬の本能に涙するのだ。

引退から二年後。
生まれ故郷で種牡馬生活を送っていたブライアンは、競争馬によくある疝痛から腸閉塞を発症し安楽死の措置がとられた。8歳?没。あまりにも短い生涯でした。願わくば、多くのブライアンの子どもたちを見てみたかった。

シャドーロールの怪物。ナリタブライアンには、奇妙に人を引きつけるものがある。何かしら感情移入を起こさせるものが確かにある。

今日も中京競馬場で、ナリタブライアンの残像が走ることだろう。あの、白いシャドーロールが揺れる・・・。