オケラ街道の奇人

令和という斜面に踏み止まって生きる奇人。自称抒情派馬券師、オケラ街道に潜む。

【怪談?】真夜中の電話☎

怪談と云っても、私は霊の存在なんて微塵も信じていないし、当然、霊体験も全くないのです。


しかし、あれだけは今でもよく分らない。


ニ十年以上前だろうか?
深夜零時は過ぎていたと思う。

リーン♪ リーン♪ リーン♪

深夜の電話は不吉でドキッとする。
誰だろう?...と、恐る恐る受話器を取った。

「もち、もち、、」
幼い声(男の子)が聞こえる。
「誰かな?...」
と、私はやさしく答えた。

男の子は電話の向こうから声がして安心したのか? その後は何を聞いても泣いているだけ。
お父さんは? お母さんは? と聞いても、要領を得ずただ泣いているだけなのだ。
こんな真夜中に3~4才だろうか? 知らない男の子から電話がかかってきて、何を聞いても泣いているだけ。私は少し気味の悪さを感じ、適当なことを言って電話を切ってしまった。
再びかかってくるのではないか?と、しばらく電話機を見つめていたが、その日はかかってくることはなかった。
“ ただの間違い電話だな・・・ ” と、自分を納得させた。


翌日。。。

深夜零時過ぎ。
前日と同じ時間帯である。
リーン♪ リーン♪ リーン♪
その瞬間の激しい恐怖感は忘れない。
「もち、もち、、」と、幼い声。
その後は前夜と同じ展開。
男の子は要領を得ず、何を聞いても泣いているだけ、、その激しい泣き方に尋常ではないものを感じ、怖くなった私は、無責任な慰めを言って受話器を置いてしまった。

その後は、再びかかってくることはなかった。
たったそれだけのこと...。


あの男の子は誰だったのだろうか?

この話を友人に話すと、、
「お前の隠し子じゃないか? 何かあったらここに電話しなさいって、母親から言われてるんだよ。年頃からすると4~5年前だぞ、覚えあるだろ?」
と、冗談混じりにからかわれる。
残念ながらそれはない!そんな事情があれば何よりそれを思い浮かべるはずで、天地神明に誓って、私はそういうタイプの男ではない(笑)。

これは私の想像だが。
男の子はあまり恵まれた環境ではなさそうだ。何かの事情で留守番をしていたのだろう。夜中に目が覚めると、ママ(パパ)はいない。男の子はママ(パパ)がいるところ(職場?)に電話をかけたのだが、番号が似ている私のところにかかってしまったのだろう。
まぁ、そんなところじゃないのかな?と、考えているのだが、そう合理的に説明できないと怖くて仕方ない。

深夜の電話に悩まされた経験のある人は多いそうですね?
今でこそケータイ(スマホ)になりましたが、あの頃は、深夜に電話機を見つめていると、今にも肩を揺すって鳴り出しそうでした。


以上を怪談(体験談)と言えるのだろうか?奇談? 私の考える怪談とは、説明することの難しい、想像力を刺激する怖い噺のことだと思っています。

「本当に怖いのは幽霊より人間です」と言う人がいます。
あれはウソですね。怖さの種類が違う。人間の怖さなんて説明出来る。
人間は誰でも心に闇を持っている。悪の部分があるから怖いのです。

そんな現実的で理論的に説明できる思考的恐怖よりも、説明できないもの。瞬間的、生理的で理性の判断を超えた恐怖。だから幽霊は正体不明で恐ろしい、、、というより、気味が悪いのです。


霊の存在を信じないと言っておきながら、こんなコワイ、コワイ、、と。
私は幼稚で臆病なんでしょうね(笑)。