幻馬伝「ウマゴースト酒場」(2) 名馬は酔っ払う。

からの続き。

ウオッカ嬢はほうほうのていで逃げてきた。あのスイープトウショウ姐さんに絡まれたのだ。
あの姐さんは怖い者知らずの無敵の気性だから関わらない方が良い。

すると、前方が騒がしい。

ん！何なのかしら？...。

ウオッカ嬢が人(馬)混みの後ろから覗いて見ると、変なのが2頭いて睨み合っている。

「あんたが有名な気紛れジョージさんかい？意外と地味だな」

「あんた、だれ？」

「へ！オレ様を知らない？ステイゴールド様を知らないの？」

「ああ、、噂には聞いた。オルフェーヴル、ゴールドシップの父上様だね？
狂乱一族だね？あはは♪」

すると、どっちが個性的か？なんて、実に下らないことで口論が始まった。
ウオッカ嬢はそれをゲラゲラ笑いながら聞いていた。

コイツら、ほんと漫才してんのね。

ん？待てよ。面白いこと考えた。
(これは妙案だわ...)

ウオッカ嬢は大きく深呼吸すると、背後に向かって、あのスイープトウショウ姐さんがいる辺りに叫んだ。

「スイープトウショウおばさん！こっちに来ない？遊ぼうよ」

スイープトウショウ姐さんの顔色が変わった。ウオッカ嬢はヒヒヒと笑うと物陰に隠れた。

「なんだと！💢 わたしのことおばさんって言ったのは誰！」

荒れ狂ったスイープおばさんは、パッカパッカ凄い勢いで走ってきた。

スイープおばさんが走ってきた先で、気紛れエリモジョージさんとステイゴールドさんが揉めている。
どっちが酒強いか？で、飲み比べをしているようだ。

「ここらで、わたしのこと、おばさんって言った女知らない？」

気紛れジョージさんとステイゴールドさんは目を見合わせた。

「気紛れジョージさん、まずいのが来たよ、、ヒステリー女のスイープトウショウだ。逃げよう」

気紛れエリモジョージさんは既に逃げていた。スイープおばさん恐るべし！伝説のクセ馬2頭を怖がらせた。

ウオッカ嬢は愉快だった。
そのまま彼女は酒場内をパカパカ面白いもの探しを始めた。
美人の彼女に声をかける男は多い。

もっと有名なやつはいないの？
しかし、さっきからサクラローレルさんとマヤノトップガンさんがカラオケやりまくりでマイクを離さない。
ウオッカ嬢は、ローレルさんもトップガンさんもいい男だから興味がある。

デュエットしようかしら？

すると、女帝エアグルーヴさんが現れローレルさんと「男と女のラブゲーム」のデュエットが始まった。
マーベラスサンデーさんと、バブルガムフェローさんまで仲間に加わったようだ。ウオッカ嬢は諦めた。

ビクっとした。

目の前に憧れているグラスワンダーさんがいる。なんてカッコいいんだ？

でも、でも、でも、、その前にサイレンススズカさんがいる。
大人しいグラス様とエルコンドルパサーさんを並べて説教している。
おまけにスペシャルウィークさんとセイウンスカイさんまで説教されているようだ。皆、うつむいている。
サイレンススズカさんは酩酊状態。これはまずい、酒癖が悪そうだ。関わらない方がいいだろう。