オケラ街道の奇人

令和という斜面に踏み止まって生きる奇人。自称抒情派馬券師、オケラ街道に潜む。

再掲 「口裂け女」

毎週、このブログを更新するのも結構大変で。
今週は、過去の再掲でお許しを。

コロナ禍、、まさか、ここまで長引くとは思いませんでした。
そんな、コロナ禍初期?の頃に書いたものを再掲します。


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口裂け女のいた夜「あたし、キレイ?」


https://okeraman.hatenablog.com/entry/2020/04/02/024320

ほろ酔い気分の私は、国道沿いを家に向かってゆっくり、ゆっくりと歩いている。人が殆ど歩いていない、、新型コロナウイルス騒動で“不要不急の外出を控えて下さい”との要請が東京都知事からあった週末の晩である。

向こうの方から誰かがやってきた。
おや! 女のようだぞ。マスクで年齢不詳ではあるが、スタイルの良いきれいな女のようだ。夜、一人で歩いている女なんか別に珍しいことではない。が、今夜はコロナ騒動による自粛要請で、まるで戒厳令下の夜を連想させるような静けさ。私はその女に妙なものを感じた。 
女と行き交いそうになった時だ。女は私の眼前でピタッと立ち止まった。白い顔、、美しい女であるのは間違いない。しかし、、女の顔に表情はない。
女はマスクを外すとニヤっと嗤った。
口が耳元まで裂けている。

「あたし、キレイ?・・・」
全身の毛穴が粟立った...


以上は、勿論私の妄想である。

「週末は不要不急の 外出はぜひとも控えてください」
新型コロナウイルスの感染者が急増しているのを受け、東京都知事から自粛要請のあった先週土曜日。
私も家で大人しくしていましだが、夜になると侘びしさに耐えられず、ちょっと飲んでくるか、、気を付ければ大丈夫だろう。と、行きつけの焼き鳥屋に向かいました。

家にいると侘びしいので、外へ出ると、、世間はもっと侘しかった。

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カウンターとテーブル席が二つあるだけの小さな店だが、いつもそこそこ席が埋まっているのに、その日は、テーブル席に夫婦連れらしい客が一組だけ。私は誰もいないカウンターに一人座った。
いつも黙々と仕事をしているマスターも、幾分手持ち無沙汰のようだ。横浜銀蝿のファンだったというこのマスターは、コワモテで無口で力士のように大きい。恐そう:..という人もいるが、私はこのマスターのシャイでやさしい性格を知っている。愛想を振りまくわけでなく、必要以外絶対客に話しかけない。私はこの空間が大好きで、気が付けば20年近く通っている。


背後のテーブル席、夫婦連れ?の会話が聞こえてきた。
「コロナ騒動で、口裂け女もマスクがなくて大変だろうね。妖怪も居場所がない世の中になっちゃったたね...」

かつて民俗社会の中に存在した妖怪も、マスメディアを中心とした商売人がガンガン手を入れ、すっかりカリカチュアライズされてしまった。
キャラ化された口裂け女を「かわいい~♪」なんていう女子高生もいる。


ここで妄想の続き。

マスクを外した口裂け女が嗤う。

「あたし、キレイ?・・・」

一瞬、狼狽えた私だが、思い直すと腕をクロスにし、ウルトラマンスペシウム光線の構え。

「コロナビーーム!」と返した。


口裂け女は悲鳴を上げて逃げ去った。
なぜか、、私は哀しくなった。


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今日、この店に行ってきました。

あの頃、来年の今頃は楽しい絵を描いていましたが、現実は更に厳しいことに...。
どうなってしまうんでしょうね?

緊急事態宣言。
今年のゴールデンウィークも引きこもりになりそうです。

暇なので、この期間に2~3の更新をしたいと思っていますが、、確約は出来ません。