field of dreams(中)大谷翔平ウルトラマン説
https://okeraman.hatenablog.com/entry/2021/10/23/154723
よりの続き。
『沢村栄治なかりせば、私もいない』
故 野村克也氏の言葉である。
この言葉の意味はお分かり頂けると思う。先だって、メジャーMVPを受賞した大谷翔平にしても、少年時代に憧れた存在は松井秀喜だった。
タラレバになるけども、そんな憧れの存在なくして現在の彼があるのだろうか? 野球選手を目指していない可能性すらある。
そんな松井にしても、イチローにしても、メジャーであれだけ活躍出来たのは、野茂英雄という先駆者がMLBへの道を切り拓いたからかもしれない。
野茂英雄も少年時代に憧れたのは江川卓だったという。
そうやって、連綿と続いてきた。
テレビで張本勲氏が暴言?を吐いて多数の批判が寄せられた。それは当然であると思う。しかし、そんな批判の中で不快感を覚えたものがある。
「張本のいた時代なんてNPB発展途上でレベルが低かった...」
なんて言う人が結構いたこと。
当時よりNPBのレベルが格段に進歩したことは否定しません。
昔よりレベルが落ちていれば、そのスポーツは滅びてしまっている。
あの、伝説の長距離ランナー。
「人間機関車」エミール・ザトペックのマラソン記録は、現代でいえば日本女子マラソンの記録にも遠く及ばない。ベスト10にも入らないだろう?
それを発展途上だのレベルが低いだの、、張本と同時代に活躍していたONをはじめ、多くの名選手に対する侮辱であり、それに憧れて野球選手になったもの、ファンも大勢いるのだ。
日本の野球ファンはまだまだ未成熟だと感じる。
アメリカのMLBファンとの気質の差? もっと根本的な野球文化とベースボール文化の違いを感じます。
MLBファンは過去の名選手に対する敬意は深い。
新人最多安打(233)更新
前記録保持者のジョー・ジャクソン
年間連続200安打(9年)更新
ウィリー・キーラー
そのたびに過去の大記録が再びスポットライトを浴び、忘れ去られていた伝説の打者を次々に現代に甦らせたのです。メジャーファンは、そんな19世紀末~20世紀初の名選手に思いを馳せ、熱く語ったそうなのだ。
遺族はそんな祖父?の記録が抜かれて悔しがるどころか、再びその名前が世に出て、多くのファンがそのキャリアについて熱く語ってくれことが嬉しかったそうです。当然ですよね。
これこそ、ベースボール文化。
否、スポーツ文化だと思います。
なぜ、日本の野球マスコミは、今シーズン、史上最年少で通算100号本塁打をヤクルト村上崇高が達成した時に、前記録保持者である中西太のことを取り上げないのか?バカじゃないかと思う。
アメリカはその町の数だけ、野球にまつわる伝説のある国。
現実に眼前で繰り広げられるプレーヤーだけでなく、フェンスの向こうの伝説。神話の種が蒔かれている。
かつて、アメリカではカーニバル野球というものがあったらしい。
各町のカーニバルにプロ野球チームを招き(マイナーリーグだと思う)、地元の野球腕自慢が挑戦する。
そこで活躍すると、プロからスカウトされるものも少なくはなかった。
そして、メジャーリーガーになるものも稀にいたらしい。
こんな話がある。
「奴は運がなかったのさ。知ってるかい。本当はあいつが上に行くはずだったのに、肝心な時になって歯が痛み出してさ。他の男にチャンスをくれることになった。代わりにメジャーリーグに上がって行った男? スタン・ミュージアルって奴よ」 吉目木晴彦「魔球の伝説」引用。
かくも素晴らしきベースボール文化。
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前回の field of dreams というタイトルから「球星伝」に変えました。
今後の野球ネタは「球星伝」に統一します。競馬ネタは「幻馬伝」にするかな。