オケラ街道の奇人

令和という斜面に踏み止まって生きる奇人。自称抒情派馬券師、オケラ街道に潜む。

field of dreams(中) 大谷翔平ウルトラマン説

field of dreams(前) 野球少年の見た夢
https://okeraman.hatenablog.com/entry/2021/10/08/233642

~の続き。


『少年時代の私にとって、野球選手は絶対的憧れの存在だった』

憧れ...。

日本プロ野球の歴史の中で、三つの重大な時期に三人の天才が出現し、この国のプロ野球を救った。
一人目は、プロ野球の草創期、彗星のように現れ、ベーブ・ルースらの全米最強軍を相手どりバッタバッタと三振の山を築いた沢村栄治
二人目は、戦後の一面焦土と化した日本に突如として出現し、ホームランをスコンスコンと打ちまくり爆発的プロ野球ブームを巻き起こした大下弘
三人目は、日本が高度成長期に向かうとき、そのダイナミックな攻・守・走で人々の記憶に永遠に残る仕事をしたミスタープロ野球長嶋茂雄
青田昇「じゃじゃ馬一代」引用)

長嶋茂雄以降、更に三人を付け加えるならば?

日本野球と決別、単身メジャー・リーグに挑戦し、日本人プレーヤーのMLBへの道を切り拓いた野茂英雄
バブル崩壊後、MLB首位打者やシーズン最多安打等の記録を作り、天才の名をほしいままにしたイチロー

そして、あの男・・・。


他にも多くの名選手がいました。

稲尾和久金田正一野村克也王貞治落合博満松井秀喜松坂大輔ダルビッシュ有 等々。
しかし、球史を動かしたという点では上記 6名になるのかな?
(王貞治も、それに加えていいですね)

f:id:okeraman:20211020161230j:plain


プロ野球オールドファンが、酒席等で集まると、必ず話題になることがあります。

独断と偏見による史上最強選手論争。

プロ野球史上。
最強打者は? 投手は? 守・走の達人は?
そして、歴代最強オーダーは?
様々な意見(思い入れ)の食い違いから、険悪になることしばしば。
そんな実にくだらない子供じみた野球論争は実に楽しく、オールナイトでも尽きない至上の時間だったのです。

あの男が出てくるまでは・・・。

大谷翔平

MLBで、46発、26盗、OPS.965
投手としても、二桁もう一歩の9勝
仰天の成績。。。

こんなことをされちゃ。

昔は良かった...という、過去を美化したい野球オヤジたちの口を、ぐうの音も出ないほど完全にシャットアウトしてしまった。
あのイチロー松井秀喜が出てきた時でさえ「いやいや、王や長嶋の方が...」と反論するオヤジは必ずいた。
しかし、大谷翔平を持って来られちゃ、そんなオヤジたちも悔しそうに黙ってしまうしかないだろう。
否、黙らせたのはオールドファンだけではないような気もする。

往年の名選手、故野村克也氏や張本勲氏も最初は「二刀流? プロはそんなに甘くない! 」と、不快そうに語っていたものの、次第にその口を封じられる。

大谷翔平は全ての史上最強打者論争に終止符を打たせたのかもしれない。


野球少年はプロ野球選手に憧れる。
憧れの感情。
少年は自分の理想とする選手を目標にする。尊敬の念から自分もああなりたいという感情移入。
王貞治イチローのような天才を見ても、例えば、大山倍達が片眉を剃って山に籠もり天狗のような修行したり、伊達直人が虎の穴で地獄のトレーニングをしたように(笑)、努力すれば自分もそうなれるかも... という幻想。
大人になっても、かつて憧れるもなれなかった自分の代わりに、その夢を好きな選手に実現してもらうという自己投影。

しかし、大谷翔平に対してそのような感情は湧くのだろうか?
勿論、憧れはするだろうが、その感情で一番重要な目標となるのか?
目標とするには彼は突き抜け過ぎているのではないだろうか?

映画ファンは、銀幕の剣豪映画、任侠映画ブルース・リー等に憧れ感情移入する。自分も銀幕スターのようになりたいと思う。
しかし、コングやゴジラウルトラマンには絶対なれない。


大谷翔平ウルトラマンなのである。


ごめんなさい。
私は競馬や野球を語ると、意味不明の劇画チックになっていく傾向があるので(笑)...。


まぁ、私は大谷翔平のような圧倒的突き抜けた存在よりも、球団や監督との確執から、単身海を渡りメジャー・リーグで大成功を収めた、野茂英雄のようなサクセス・ストーリーが好きなのです。


そういえば、ある若い野球ファンが、老害的発言を繰り返す張本勲氏に対してこんなことを言っていた。
「張本なんて、レベルの低い時代で記録を作っただけでしょ? 今の時代なら二軍でも通用しない」
張本さんの前時代的考え方に批判があるのは当然だが、往年の名選手の実績に対して「レベルの低い時代」という発言は失礼極まりなく、野球ファンとして最低だと断じたい。

アメリカのMLBファンに、このような発言をする人は非常に少ない。
日本のNPBとは歴史も違い、野球文化とベース・ボール文化の違いもあるだろう。向こうのファンは、過去のレジェンドに対する敬意は深い。


野村克也は、こんな名言を残している。

沢村栄治なかりせば、私もいない』

メジャー・リーグのファンは、この言葉の意味をよく理解しているのです。

(続く)

続きは。

【field of dreams(後) フェンスの向こうの伝説】
のタイトルになる予定。


 ・・・・・・・・・・・・・・・

次回から2~3回は、一般話題になります。
field of dreams(後) は、その後、11月中になります。